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今年起きた有名企業の不祥事と謝罪会見 識者が5段階で採点

謝罪会見で頭を下げる旭化成グループの首脳陣

 データ改ざんを行った旭化成建材、利益水増しが発覚した東芝、女性役員が麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたトヨタなど、今年は有名企業の不祥事が相次いだ。これらの企業はいずれも謝罪会見を行ったが、これを識者はどう見るのか?

 日米の企業組織論が専門の明治大学教授・小笠原泰氏、危機対応コンサルタントの山見博康氏、経営コンサルタントの小宮一慶氏、企業のリスクマネジメントに詳しい専修大学教授の上田和勇氏、危機管理コンサルティング会社「リスクヘッジ」代表の田中辰巳氏、元東京地検特捜部検事で企業のコンプライアンスに詳しい弁護士の郷原信郎氏らの6人に、謝罪会見を採点してもらった。(「企業名」「識者による評価点を集計した5段階評価」「不祥事の内容」「寸評」の順。企業の登場順は最初の謝罪会見を開いた順)

【日本マクドナルド=3点】

 今年1月、商品からビニール片や金属などが見つかる異物混入トラブルが相次いだ。同月、記者会見にサラ・カサノバ社長は「出張中」で出席しなかったが、2月5日の決算発表会見でカサノバ社長は「お客様に多大なご迷惑をかけた」と陳謝した。

「1回目の会見で役員だけに対応を任せたことはマイナスだが、日本式に合わせて6秒間お辞儀するなど真摯な態度は見せた」(小笠原氏)

【東洋ゴム工業=1点】

 3月12日、建物の揺れを抑える免震ゴムに国の性能基準を満たさない製品があったことが発覚。翌日、山本卓司社長が謝罪した上で「これ以上拡大はしない」と発表し8月に「安全」を宣言したが、10月には防振ゴムの性能データ改ざんも発覚した。

「8月に出した安全宣言の2か月後にデータ改ざんが発覚。執行役員の“拙速だった”との発言は弁解にもなっていない」(山見氏)

【大塚家具=5点】

 3月27日、株主総会にて大塚勝久会長(当時)の退任を求めていた長女・久美子社長の会社提案が可決。久美子社長は社長に再任し、勝久氏は取締役を退任した。その後の「おわびセール」は、2015年6月中間決算(1~6月期単体)が上方修正されるほど好評だった。

「世間を騒がせたのは事実だが、不祥事とは言いにくい。だが謝罪し、消費者へのお詫びを形にしたため大きな顧客離れを防げた」(小笠原氏)

【NHK=3点】

 2014年5月14日放送の『クローズアップ現代』で“やらせ”があったとの報道を受け、4月28日、NHK調査委員会は「『やらせ』はないが『過剰な演出』や『誤解を与える編集』があった」と説明。男性記者を停職3か月とするなど関係者15人を処分した。    

「番組の顔である国谷裕子・キャスターが涙ぐみながら謝罪をしたが、問題の重大性からは降板してもおかしくなかった話」(山見氏)

【東芝=1点】

 5月13日、3年間で累計500億円強の利益がかさ上げされていた可能性があると発表。7月21日には1500億円以上の利益水増しを公表し、田中久雄社長、前社長の佐々木則夫副会長が引責辞任。元社長の西田厚聡相談役も退いた。東芝は歴代3社長らを提訴。

「会見で“不正”でなく、頑なに“不適切会計”という言葉を使い、今もって誰に責任があるのか不明という後味の悪さ」(小笠原氏)

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