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俳優・堀内正美が振り返る原節子さん「美しさが強烈だった」

 透明感のある美貌から「永遠の処女」と呼ばれ、『東京物語』や『秋日和』など数々の名作に出演した原節子さん(享年95)。共に生み出した監督・小津安二郎さんの死後は表舞台から姿を一切消した。その生き様も女優だった彼女の訃報が伝えられたのは2015年11月。肺炎で亡くなって3か月が経ってからのことだった。

 俳優・堀内正美さん(65才)が原さんとの思い出を振り返る。

「黒澤明さんの助監督をやっていた父が『いろいろな女優さんを見てきたけど、女神のような美しさ』と原さんについてそう話していました。実家の隣が結髪師さんの家で、原さんがたまに遊びに来ていたんです。ぼくも小学校の頃、一緒に遊んでもらいました。『まあちゃん』と呼ばれて、外国のお菓子をもらったり、膝枕をしてもらったりしました」

 父親の言う通り、原さんの美しさは別格だった。

「彫りが深くて目鼻立ちがはっきりしている。最初、外国人かなと思ったくらいでした。子供ながらにすごく美しいと思いました。強烈でしたね」

 堀内さんの父は、堀内さんが「ちょうだい」とねだると、コートやシャツなどをすぐにくれる人だった。

 だが、オリーブ色のシンプルなニットのネクタイだけは例外だった。そのネクタイは、原さんからの贈り物だったという。

「助監督を務めた映画『わが青春に悔なし』がクランクアップしたときに『頑張って、いい監督さんになってね』という言葉と共にいただいたものだと聞きました」

 堀内さんの父・甲さんは、ネクタイをもらった約10年後に映画監督になる夢を叶えた。

 1997年、その結髪師の葬儀に原さんはこっそり参列していたという。

「スカーフで顔が隠れていたし、40年ぶりにお会いしたけど、大きな目が印象的なので一目でわかりました。ぼくの記憶にある原さんのまんまでした」

 表舞台から姿を消しても、女優・原節子であり続けた。

※女性セブン2016年1月1日号

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