国内

夫婦別姓 少数の希望者に自由与えても大勢に影響なしと識者

夫婦別姓を望む人はごく少数

 夫婦別姓を認めない民法の規定について合憲とする最高裁の判決が出た。これを受けて、別姓賛成派・反対派の応酬がネットで起きた。コラムニスト・オバタカズユキ氏が考える。

 * * *
 夫婦別姓を認めていない民法の規定について、先日、最高裁判所大法廷が「いずれの姓を名乗るかは夫婦の協議に委ねており、規定には男女の形式的な不平等はなく、憲法違反とはいえない」という初の合憲判断を示した。ただし、希望者が個々の姓を名乗ることができる選択的夫婦別姓制度にも一定の合理性を認め、「どのような制度にすべきかは、社会の受け止め方を踏まえ、国会で論じられ判断されるべきだ」と付け加えた。

 要するに、もっと国民的議論を重ねなさいと言ってお茶を濁したわけだ。最高裁の本意は知らぬが、私は「ハンパなこと言ってくれるなあ」と思った。これを受けて夫婦別姓の推進派と反対派がまたぞろ舌戦を活発化させる。反射的にそうイメージして、嫌気がさしたのである。

「性差別だ!」と金切り声をあげる日本人と、「我が国の文化・伝統を守れ!」と語気を荒げる日本人の言い争い。キーッとなる両極の人たちはやる気満々かもしれない。だが、その他大勢の日本人はどうか。この問題は、何十年も同じ対立図式で議論が繰り返されてきた。論点は出尽くしており、少なくとも私はすでにうんざりだ。

 はっきり言って、どっちに転ぼうがたいした問題が起きる話でもない。議論を続ける余力があるのなら、高齢化と人口減少によるこの国の劣化の阻止に日本中の知恵とエネルギーを注ぐべきである。だから、不毛な言い争いは早く終わらせてくれ、という願いをこめて以下を述べたい。

 この問題に対する私自身の意見は、結婚後の姓をどうしたいかは人それぞれ違って当然、というものだ。よって、選択的夫婦別姓制度をさっさと導入すべきと考える。べつに夫婦同姓の廃止運動が起きているわけではないのだから、別姓にしたい夫婦がそうできるようにすればいいのである。

 けれども、反対派は頑なだ。そんなに「我が国の文化・伝統を守れ!」と言いたいなら、平民が姓を持たなかった江戸時代以前に戻りましょう、あるいは、妻の氏は実家のものを用いよと国が「夫婦別氏」を指令していた明治時代中期に再設定し直しましょう、と皮肉りたくなるが、真面目な話、どうしてそこまで夫婦別姓を嫌うのだろうか。

 反対派は、「姓が違えば、家族や夫婦の絆が失われる」と危機感を募らせる。だけれど、日本以外の多くの国は夫婦別姓や旧姓を同姓にくっつける結合姓の制度を採用している。で、そうしたドイツやフランスや中国や韓国ほかの夫婦と家族が日本と比べてバラバラか。そんなことはないはずだ。

 それに、もし別姓のせいで家族や夫婦の絆が失われてしまったとしたら、その家族や夫婦の仲はたかだか姓が違うだけで壊れてしまう程度のものだったということだ。一般的に、離婚は夫婦にも子供にも大きな打撃を与える。さほどにか細い絆の夫婦ならば、子供ができる前に別れたほうがいい。当人たちにとっても、国にとっても、だ。

関連記事

トピックス

6月は“毎年絶好調”というデータも(時事通信フォト)
《ホームラン量産モードの大谷翔平》6月は“毎年絶好調”で「月間20本塁打」もあるか? 見えてくる「年間60本塁打」昨季を超える異次元記録
週刊ポスト
イケオジたちの魅力を山田美保子さんが語る
竹野内豊、仲村トオル、阿部寛、そしてロバート秋山竜次も…“アラフィフ・アラ還”イケオジ芸能人たちの魅力 高身長という共通点も
女性セブン
“教育虐待”を受けたと主張する戸田容疑者の家庭環境とは── (時事通信社)
「母親から数万円の振り込み断られた」東大前駅切りつけ事件・戸田佳孝容疑者(43)の犯行動機に見える「失われた世代」の困難《50万人以上の高齢者が子に仕送りの推計データも》
NEWSポストセブン
秋篠宮と眞子さん夫妻の距離感は(左・宮内庁提供、右・女性セブン)
「悠仁さまの成年式延期」は出産控えた姉・眞子さんへの配慮だった可能性「9月開催で眞子さんの“初里帰り”&秋篠宮ご夫妻と“初孫”の対面実現も」
NEWSポストセブン
性的パーティーを主催していたと見られるコムズ被告(Getty Images)
《フリーク・オフ衝撃の実態》「全身常にピカピカに」コムズ被告が女性に命じた“5分おきの全身ベビーオイル塗り直し”、性的人身売買裁判の行方は
NEWSポストセブン
大食いYouTuber・おごせ綾さん
《体重28.8kgの大食いタレント》おごせ綾(34)“健康が心配になる”特殊すぎる食生活、テレビ出演で「さすがに痩せすぎ」と話題
NEWSポストセブン
美智子さまが初ひ孫を抱くのはいつの日になるだろうか(左・JMPA。右・女性セブン)
【小室眞子さんが出産】美智子さまと上皇さまに初ひ孫を抱いてほしい…初孫として大きな愛を受けてきた眞子さんの思い
女性セブン
出産を間近に控える眞子さん
眞子さん&小室圭さんがしていた第1子誕生直前の “出産準備”「購入した新居はレンガ造りの一戸建て」「引っ越し前後にDIY用品をショッピング」
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《永野芽郁が見せた涙とファイティングポーズ》「まさか自分が報道されるなんて…」『キャスター』打ち上げではにかみながら誓った“女優継続スピーチ”
NEWSポストセブン
子育てのために一戸建てを購入した小室圭さん
【眞子さん極秘出産&築40年近い中古の一戸建て】小室圭さん、アメリカで約1億円マイホーム購入 「頭金600万円」強気の返済計画、今後の収入アップを確信しているのか
女性セブン
カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「コメ上納」どころではない「議員特権の米びつ」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「コメ上納」どころではない「議員特権の米びつ」ほか
NEWSポストセブン