ビジネス

メガバンクの同期年収格差は2倍 50代は今後無職もありえる

 入社式で肩を並べた30数年前、同期と共に会社を背負っていく将来を夢見た。しかし時を経て、気付いたら“彼”とは残酷なまでに大きな「年収格差」が生まれていた──。

 一体いくら違うのか。ドラマ『半沢直樹』(TBS系)で熾烈な出世競争が描かれた銀行業界を見てみよう(金額は一般的なケースの概数、以下同)。本誌の取材でメガバンク各行の50歳時の同期の年収の幅は、

■三菱東京UFJ銀行
最低1100万、最高2200万円
■三井住友銀行
最低1000万、最高2000万円
■みずほ銀行
最低800万、最高1600万円

 という証言を得た。この差はどこで生まれるのだろうか。三菱東京UFJ銀行の50代社員は「入行した瞬間から格差はある」と話す。

「銀行は20代では給料の差がつかないですが、それでも学閥があります。旧行時代からあからさまに東大・京大が優遇されてきた。また、頭取輩出店舗に配置されるかなどで幹部候補が誰なのかわかってしまうんです」

 年を追うごとに差は広がっていく。まず最初に大差がつくのが「30歳」だ。

「8年目くらいで最初に係長クラスに昇進する人が出てくる。同期の多くが年収600万円のなか、早くも1000万円に到達します」(あるメガバンク50代行員)

 続いて40歳前後で、同期でもトップの行員は「課長クラス」に昇進し、年収は1500万円ほどにアップ。さらに50歳になると役員目前の「部長クラス」で年収2000万円ほどとなる。

 出世レースから外れた社員は、同期が30歳で就任した係長クラスのまま50歳を迎えるという。年収は約1000万円。その差は2倍にも広がるのだ。

 メガバンクで同期のうち、役員となり銀行に残れるのはほんの一握り。51歳で役員になれなければ、ほとんどの行員が出向する。出向後、数年は出身銀行の給与水準が保障されるが、その後は完全転籍になり出向先の給与体系が適用される。

 さらに現在は出向先を見つけることすら難しくなってきている。メガバンクは合併して社員数が増えた一方、リストラで子会社を統合しており、出向ポストが減っている。しかも株の持ち合い解消が進み、企業側が「株主でもない銀行の行員を受け入れる必要はない」と出向を受け入れないケースも出てきているのだ。

 今後、「冬の時代」が到来すると前出の50代行員は危機感を募らせる。

「業績が比較的安定している不動産、クレジットカード、リースなどの関連会社に出向できる行員はある意味、エリートです。上場企業なら御の字。

 しかも今の50代はバブル直前の大量採用世代で人が多すぎる。出向するポストがないと最悪の場合、同期格差どころか50代で無職になって年収ゼロだってあり得ます」

※週刊ポスト2016年1月1・8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
「2024年に最もドッキリにかけられたダマされ王」ランキングの王者となったお笑いコンビ「きしたかの」の高野正成さん
《『水ダウ』よりエグい》きしたかの・高野正成が明かす「本当にキレそうだったドッキリ」3000人視聴YouTube生配信で「携帯番号・自宅住所」がガチ流出、電話鳴り止まず
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
(左から)「ガクヅケ」木田さんと「きしたかの」の高野正成さん
《後輩が楽屋泥棒の反響》『水ダウ』“2024年ダマされ王”に輝いたお笑いコンビきしたかの・高野正成が初めて明かした「好感度爆上げドッキリで涙」の意外な真相と代償
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
(SNSより)
「誰かが私を殺そうとしているかも…」SNS配信中に女性インフルエンサー撃たれる、性別を理由に殺害する“フェミサイド事件”か【メキシコ・ライバー殺害事件】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
女性2人組によるYouTubeチャンネル「びっちちゃん。」
《2人組YouTuber「びっちちゃん。」インタビュー》経験人数800人超え&100人超えでも“病まない”ワケ「依存心がないのって、たぶん自分のことが好きだから」
NEWSポストセブン