日本とドイツは5年、スウェーデンは世界記録の4年で2万ドル経済から3万ドル経済に突き抜け、先進国の仲間入りを果たした。イノベーションや生産性向上によって、為替や労働コストの上昇を乗り越えたのである。
しかし、韓国の場合はイノベーション不在、基礎科学軽視、ものまね文化で、スピードと規模を重視する。そうした産業の“底”の浅さが「中進国のジレンマ」から抜け出せない最大の理由であり、さらにその深因は、記憶偏重の教育、学校秀才万能、そして男尊女卑の社会風潮にあると思う。
今の韓国は為替が1ドル=1600ウォンから1200ウォンになって苦しんでいるが、かつて1ドル=360円から80円になった日本の経験は、1ドル=400ウォンに匹敵する。その為替に耐えられる韓国企業はない。1ドル=800ウォンでも、みんなひっくり返るだろう。韓国は1ドル=80円の試練を乗り越えた日本に学ぶべきなのに、そういう姿勢は全くない。このままでは「中進国のジレンマ」から脱することはできないだろう。
※週刊ポスト2016年1月29日号