「ゴルフ以外の趣味を持ったのは生まれて初めて」──とノリノリでギター演奏をするのは、レギュラーツアー6勝の奥田靖己プロ(55)。
ギターを初めて2年という奥田プロをはじめ、加瀬秀樹プロ(ボーカル)、芹澤信雄プロ(ウインドチャイム)、高松厚プロ(ドラム)、中西信正プロ(ギター)、高見和宏プロ(ボーカル&MC)など、1959年と1960年生まれのシニアプロを中心にして、昨年春に結成されたバンドが『ゴクロー(5960)サンズ』だ。
活動場所は主にプロゴルフシニアツアーの前夜祭。プロアマの参加者を前に懐かしのグループサウンズなどのヒット曲を披露し、大会を大いに盛り上げている。
「2年前、組織改革を掲げる倉本(昌弘)さんがシニアツアーを主管するPGA(日本プロゴルフ協会)の新会長に就任した時、何か協力できないか、社会貢献できないかと考えた。そこで思いついたのがバンド結成でした」(奥田プロ)
奥田プロは、楽器は未経験だったが、ギターを初めて2か月でデビューした。
「ギター教室に通うなど猛特訓しました。当然、ゴルフの練習は減りました……(苦笑)。ただ、以前は常にゴルフしかなかったのが今は頭の切り替えができて、生活にメリハリがつくようになった。新しい趣味のお陰で初ステージのシニアツアーで優勝しましたからね」(奥田プロ)
この日は2015年度シニアツアー最終戦の『いわさき白露シニアゴルフトーナメント』の前夜祭ステージのために、たっぷり2時間のリハーサルが行なわれた。
発足当初のレパートリーはザ・ワイルドワンズの『想い出の渚』、チューリップの『サボテンの花』、吉田拓郎の『落陽』の3曲だったが、今は加山雄三の『君といつまでも』や伊勢正三の『22才の別れ』などが加わってレパートリーは10曲に増えた。オリジナル曲も作成中だという。プロアマに参加した企業のオーナーから、イベントでの出演依頼もある。
「前夜祭だけでなく、ツアー会場でギャラリーの前でも演奏をやってみたい。バンドを通してゴルフ界の発展とチャリティ活動、そして自分たちの老後の楽しみのためにも演奏を続けたい」(高松プロ)
シニアプロたちがクラブを楽器に持ち替えてゴルフ界を牽引しようとしている。
撮影■杉原照夫
※週刊ポスト2016年1月29日号