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ビブリアシリーズ著者 自身の過去投影した主人公は恥ずかしい

【話題の著者に訊きました】三上延/『江ノ島西浦写真館』/光文社/1296円

 累計600万部の人気シリーズ『ビブリア古書堂の事件手帖』の著者、三上延さんの新作は、100年続いた写真館が舞台である。

 主である祖母が死に、孫の繭が遺品整理を任される。写真家を志していた繭だが、ひとつの事件をきっかけにカメラを捨てていた。久しぶりに訪ねた写真館には、時代は異なるのに同じ顔の男性が写った4枚の写真が残されていた――。

「写真って、どのうちにも普通にあるものですよね。だけど今は携帯やスマホで写すのが当たり前で、写真館や写真屋さんは激減しています。写真そのものの変わらなさと、テクノロジーや置かれた環境の変化が面白いなと思ったんです」

 三上さんの高校時代の後輩の家が昔から続く写真館で、よく遊びに行き、そのイメージがあったことも大きいという。

 写真の謎を追うのは主人公の繭だが、その繭自身、現在の彼女と、小説の中で描かれる写真家志望の学生時代とでは別人かと思うぐらいの変わりようを見せ、読者にとっては謎めいた存在になっている。

「学生時代の彼女は無神経で、こういう人いたらやだな、というタイプです。ぼく自身、布団にもぐって『あー』って叫びたくなるほど、若いときは、顔から火が出るくらい恥ずかしいことを仲間に言ったこともあります。もし20年前の自分が目の前にいたら、背中を蹴りたいと思うほど。そんな気持ちを読者にも思い起こしてほしくて、デビュー前後の自分のことを考えたりしながら、繭のキャラクターをつくりました」

 三上さん自身に、写真にまつわる特別な思い出はありますか?

「この小説のようなことはさすがにありませんけど、小さい頃のぼくを写した写真と、3才上の兄の写真がすごく似てるんです。大人になると全然違う顔なのに。アルバムにきちんと整理したりしない家で、服も兄のお下がりを着てるので、ますますどちらかわからない(笑い)」

 そんな個人的な記憶も、かたちを変え、小説の細部に反映されている。

『ビブリア~』のシリーズは、次作か次々作でいったん終えるつもりだという。人気作だけに、出版社は必死に引き止めるだろう。

「それが全然。『押すなよ、絶対に押すなよ』みたいに(笑い)、いつ止められるかと身構えていたんですけど。『ビブリア〜』は2011年前後と時代を区切っているので、どこかで締めくくりをつけないといけないんですが、その後、二度と書かない、ということではありません」

 作家としていろんな時代を書いてみたい気持ちがあり、そのための資料も集めているところだという。

(取材・文/佐久間文子)

※女性セブン2016年1月28日号

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