昨年11月、野球の国際大会『プレミア12』の日本vsベネズエラ戦で、実況も解説も気づかなかった「内野5人シフト」をレポーターの中居さんだけが気づいてさりげなくコメントしていました。これも観察眼の素晴らしさと、「誰もふれないから自分が言ったほうがいい」というチームプレーの意識を象徴するエピソードの1つです。

 中居さんがこのような司会スキルを身につけられたのは、アイドルであるにも関わらずバラエティー番組への出演を重ねて、大物司会者から直接学んできたからでしょう。その結果、タモリさんの脱力感、ビートたけしさんの小ボケ、明石家さんまさんの出演者イジリ、笑福亭鶴瓶さんの人なつっこさというように、“お笑いBIG3+鶴瓶さん”の長所を併せ持つハイブリッドな司会者になりました。実際、中居さんほどさまざまな種類の笑いを生み出せる芸人司会者はいない気がします。

 中居さんの司会を語る上で、最後にもう1つふれておきたいのは、真面目で地に足のついた人柄。普段はおちゃらけていますが、もともと用意周到で地道な努力ができるタイプであり、常にスタッフの意図と視聴者の視点を考えて、司会のプランを立てています。

 つまり、「謙虚で居続けられる」「スターではなく普通の男という感覚を持てる」ことが最大の強み。その証拠に中居さんは人気が増すほど、スター性が高まるほど、自虐ネタを激しくしてバランスを取っている気がします。贅沢への興味も所有欲もない地味な休日、モテや結婚をあきらめたという姿を見ると、決して「大スター」という遠い存在には思えません。

 現代の司会者に求められるのは、話術や面白さだけではなく、黒子にもなれる柔軟性や謙虚さのある人物像。中居さんなら、いつまでも「私たちの司会者」という身近な存在でいてくれるのではないでしょうか。

【木村隆志】
コラムニスト、テレビ・ドラマ解説者。テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの聴き技84』(TAC出版)など。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン