国際情報

朴槿恵大統領 反日団体を放置してきたツケが回ってくる

 昨年12月に交わされた、いわゆる「従軍慰安婦」問題に関する日韓合意。日本政府が10億円拠出の条件として要求していたソウル日本大使館前に建つ「従軍慰安婦の銅像」の撤去は一向に実行されないまま、朴槿恵政権を“第二の銅像”問題が襲うという事態が発生している。

 問題の“第二の銅像”とは、「ベトナムピエタの像」と呼ばれるもの。日本語にすると「ベトナムの母と子供の像」といった意味だ。現在、ベトナム人の母子をかたどった銅像が韓国人の彫刻家によって作られており、それが今年中に韓国とベトナムの両国に設置される予定なのだという。

 韓国はベトナム戦争中の1964年から終戦まで、延べ32万人もの兵士をベトナムに送り込んだ。だが、韓国軍はベトナムで多くの民間人虐殺やレイプ事件を引き起こし、韓国現代史最大の汚点とされている。

 虐殺されたベトナム人を慰霊するこのベトナムピエタの像を製作しているのは、韓国の彫刻家、キム・ソギョン氏とキム・ウンソン氏。2人はなんとソウル日本大使館前の慰安婦像の製作者である。

 しかしなぜ、今になって韓国国内でベトナム戦争の蛮行を取り上げようとする動きが出始めているのか。

 注目すべきは、このベトナムピエタ像の製作を伝えたハンギョレ新聞が、その計画に、反日団体の急先鋒にして、ソウル日本大使館前の慰安婦像の設置者である挺身隊問題対策協議会(挺対協)が協力・関与していると報じたことだ。

 韓国情勢に詳しいジャーナリストの室谷克実氏が語る。

「昨年末の日韓合意により、韓国国内には『もうこれ以上、慰安婦問題で日本を攻撃することは難しい』という空気が広がっている。それで挺対協も、新しい活動分野を探してベトナム問題に手を伸ばしてきたのではないか」

 慰安婦問題とベトナム戦争。一見、何の関係もなさそうだが、そこに横たわる“共通性”について、韓国情勢に詳しい評論家の三浦小太郎氏はこう解説する。

「挺対協は確かに反日組織なのですが、実はその本質は親北朝鮮、反韓国政府、反親日派という思想で形成されている左翼団体なんです。だから慰安婦に続いてベトナム人虐殺を持ち出し、韓国政府を攻撃するとともに、ベトナム戦争を引き起こしたアメリカと韓国の仲をも裂こうとしている。

 朴槿恵大統領の父親、朴正熙大統領の時代をはじめ、韓国が軍事独裁政権によって統治されていたころ、権力を持っていた高級軍人たちは冷戦というイデオロギー対立の時代の中で、国内の左翼勢力を徹底的に取り締まっていた。金大中政権のころからようやくそういう空気がなくなって、韓国の左翼は恨みとともに、どっと社会の表に飛び出てくることになった。その代表が挺対協なんです」

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト