ライフ

「人工授精が当たり前」の未来描く衝撃作『消滅世界』

【著者に訊け】村田沙耶香さん/『消滅世界』/河出書房新社/1728円

【あらすじ】
 男女が愛し合い、結婚をして性行為をした結果、子供が生まれる──私たちが当たり前に考えているそれは、もはや「昔」の話だった。両親の性行為で生まれた「雨音」が住む世界の「正しい」性は、女性がパートナーから人工授精を受けて出産をする。セックスは世界からなくなりつつあるのだ。さらに実験都市・千葉では、「家族」ではなく「楽園システム」で人類が繁殖していた。

 夫婦の間のセックスレスが社会問題のようにいわれるが、『消滅世界』で描かれているのはその先の未来で、夫婦の間のセックスは「近親相姦」とタブー視され、子供は人工授精でつくるのが当たり前という世界だ。

「書き始めるときは、セックスが消えつつある世界でセックスしているイメージだけがありました。セックスがなくなっても繁殖できる、そういう科学技術のある世界で、セックスのことを全然知らない人が、本や古い文献を読みながら試みているへんてこな光景が浮かんで」(村田さん、以下「」内同)

『消滅世界』の前に書いた短編(「清潔な結婚」)で、婚活サイトで知り合い、セクシャルなことを一切しない約束で結婚した夫婦を描いたとき、読者から「共感する」という感想をもらうことが割合多かったそうだ。

「思ったよりも突拍子もないことじゃないことなのかな、と。だったら、だんだんとそうなりつつある、みんながリアルだと感じるもののさらに先を行く世界に、リアリズムのまま主人公を置いてみたらどうなるだろうと思ったんです」

関連記事

トピックス

近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
「参政党パワー」の正体とは(神谷宗幣・代表)
叩かれるほどに支持が伸びる「参政党パワー」 スピリチュアリズム勃興の中で「自分たちは虐げられていると不安を感じる人たちの受け皿に」との指摘
週刊ポスト
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン