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脳梗塞で人が倒れて意識がない 周囲の人はまず何をすべきか

 人が突然目の前で倒れてしまった──その場合、多くの人は気が動転してしまい、適切に行動できなくなってしまう。人が突然倒れる原因はいくつもあるが、意識を失っている場合に考えられるのが脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)によるものだ。判断を誤れば後遺症が残るだけでなく、最悪の場合は死に至る。

 今回は脳卒中の大半を占めるという脳梗塞を中心に取り上げ、いざという時のためにどう対処すれば良いかをシミュレーションする。

【意識がなさそうな場合にはまず何をすれば良いのか】

 声をかけても返答がない場合、まっさきにすべきことがある。東京女子医科大学客員教授の清水俊彦氏はこう話す。

「脳血管のトラブルで脳圧が上がると、嘔吐中枢が刺激され嘔吐を伴うことが少なくない。ここで大事なのが体を横向きにして寝かせること。吐いた物で窒息する患者が意外に多いのです。同時にネクタイやベルトなどを緩めることで呼吸を楽にしてあげましょう」

 また、脳梗塞との併発は非常に稀なケースではあるが、心停止の場合には心臓マッサージを優先すべきだ。

「脳の大きな動脈で梗塞が起きた場合には心停止もありうる。呼吸や脈がないなど明らかに心停止と判断できれば心臓マッサージを優先したほうがいい」(同前)

【体は温めるべきか冷やすべきか】

 冬の屋外で倒れた場合などでは上着をかけるなどして、体温を保てるよう対処する。

「体は温めても冷やしても血流に対する刺激になります。屋内で倒れた場合は、体温の変化が大きくならないようバスタオルや薄手の毛布をかける程度に留めましょう」(同前)

【119番では何を伝えればよいのか】

 周囲の安全が確保できたら、慌てずに119番通報する。この時の対応が患者の今後を分ける。

 単に「夫が倒れた」というのではなく、「片側の顔面が麻痺している」や「片足だけが動かせない」といった具体的な症状がキーワードになる。それを聞くことで救急隊員は状況や症状の判断がつき、処置や搬送先の判断が迅速にこなせるようになるからだ。

※週刊ポスト2016年2月26日号

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