この報告は、ジョージ・ヒックス氏の著書『従軍慰安婦』や吉田清治氏の証言など、虚偽であることが明白な資料に基づいて作成された。チョン氏の証言については北朝鮮側から受け取った記録であり、クマラスワミ氏はチョン氏に面会していないという指摘もある。

 戦時中、慰安婦は慰安所からの外出を許可され、接客拒否や廃業、帰国の自由もあった。慰安所では兵士の飲酒と慰安婦への暴行が規則で固く禁じられており、違反者には厳しい処罰が下された。

 実際、1944年に米・戦時情報局(OWI)が作成した記録には、「慰安婦は将校より高収入であり、接客拒否の権利も認められ、外出の自由も保障されていた」と記されている。

 より看過できないのは、「日本軍は少女を慰安婦にした」という暴論だ。サンの記事はチョン氏の以下の証言を伝える。

〈日本の警官が学校に行き少女たちを集めた〉

〈犠牲者の多くは、処女であることを保証するために、14~18歳の少女が集められた。抵抗した家族は、その場で殺された〉

 ひどい誤解というよりない。1990年代始め、朝日新聞は戦時下で女性を軍事工場などに徴用した「女子挺身隊」と「従軍慰安婦」を混同して報じた。それ以降、韓国では「女子挺身隊イコール慰安婦」という事実誤認が一般化した。

 1992年の宮沢喜一首相(当時)の訪韓直前には韓国メディアが「12歳の少女が挺身隊に動員されたことを示す学籍簿が見つかった」と報じ、「小学生を性奴隷にした」との虚報が一挙に広がった。

 一昨年、朝日新聞はようやく誤りを認め謝罪したが、韓国では少女が犠牲になったと今も信じられている。慰安婦像が少女の像なのはこのためだ。

※SAPIO2016年3月号

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