国際情報

慰安婦問題の蒸し返しに「お人良しの日本も反省すべき」

米韓首脳会談が日韓合意の契機に Reuters/AFLO

 これまで日本に対して強硬な外交姿勢だった韓国が、年末の日韓合意で急に軟化したように見える。

 韓国経済界から「日韓通貨スワップ協定」の復活や「韓国のTPP加入」の議論が出たり、朴槿恵大統領就任以来初の日韓首脳会談が開催されたりもした。また、昨年末、朴氏への名誉毀損で在宅起訴された産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長の無罪判決、韓国憲法裁判所による1965年の日韓請求権協定は違憲との審判請求の棄却も今回の合意を後押しした。

 こうした韓国側の動きについて、拓殖大学教授の呉善花氏はどう見ているのか。

 * * *
 一連の動きを韓国による「関係修復のサイン」や「歩み寄り」とみなす日本人は多いが、過剰な評価は禁物だ。

 産経新聞の加藤氏は8か月間も出国を禁じられた。国家権力が報道の自由を奪うことは民主国家ではありえず、加藤氏や産経新聞は韓国政府を訴えるべきだ。請求権協定の審判請求も本来は、国と国が結んだ協定は遵守すべきものであり、違憲の訴えは斥けられて当然。なのに、棄却されたことで「韓国が配慮してくれた」と喜ぶのはお人好しにもほどがある。

 昨年、日本が「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に登録する際、韓国は朝鮮半島出身者が「強制労働(forced labor)させられた」という表現にこだわり、日韓交渉が難航した。

 擦り合わせのため開かれた日韓外務次官級協議の後、日本のメディアは韓国がこの表現を使わないことを受け入れたとして、「韓国がすり寄ってきた」「話し合いで解決した」と報じた。国内に楽観ムードが広がるなか、私は「韓国が折れるなんてありえない」と確信していた。

 案の定、土壇場で韓国の文書に「forced labor」との表現があるとわかり、日本は「騙された」と大慌てした。何とか「forced to work(働かされた)」との婉曲な表現で折り合ったが、海外メディアは日本が「奴隷労働」「強制労働」を認めたと報じた。戦時中の日本の非道さをアピールするという、韓国の筋書きどおりの成り行きだった。

 今回の合意も海外の主なメディアは「20万人のアジア人女性を日本軍が強要して性奴隷とし、人権を蹂躙した事実を日本政府が認めて日韓合意をした」と報じた。

関連キーワード

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン