――好きなことだけするのが仕事なんて、うらやましい…。

 どんな経験でも生かされるのがこの仕事です。仕事で悪い結果を出そうなんて誰だって思わないでしょう? でも、時には周りが見えなくなって突っ走ったり、迷路に入り込んだりする。それは監督もスタッフも同じ。ですから、プロデューサーの私が時には背中を押し、時にはそっとしておき、時に発破をかける。何といっても調整役ですから。

――“機を見て人を動かす”わけですね。

 そして3つ目は“謙虚さ”。日々、何百という選択や決断を迫られるのがプロデューサーです。迷った時は、ひとりよがりにならず、スタッフの意見を聞いて決断をします。もちろん、それでもミスを犯すことはあります。その時は素直に非を認めて、謙虚に軌道修正します。

 できないこと、無理なこと、わからないことはプライドを捨てて、助けを請うことも大切だと思っています。

――これほどの大物になっても、他人の意見に耳を傾けられるなんて! 日本の会社じゃ、上司が黒と言えば、白いものも黒というのに。でも、その柔軟さが創作の源なんでしょうね。

 周りにもそんな人は多いですよ。例えば、この作品のピーター・ソーン監督がいい例です。彼は長編アニメの監督が今回初めてでしたが、自分のわからないことはベテランのスタッフに謙虚に聞いていましたからね。

 そして最後に最も大切なことは、正直であることです。人って、例えば「この人は調子がいいけど、本心じゃないな」とか、感じ取りますよね(笑い)。だから私は、いつも本音で勝負しています。

――なるほど。人として大事なことばかりですね。

取材・文■由井りょう子

撮影■矢口和也

※女性セブン2016年3月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン