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2016.03.06 16:00  週刊ポスト

橋爪功 隙を笑われる小さな人間の色っぽさこそ喜劇

「舞台でも、僕はもともと喜劇的なパートが多かったんですよ。なにより笑われる役が好きだった。漫才のボケ側が頭を叩かれて『アホか、おまえは』ってあるでしょう。そういう感じでお客さんに受け止めてもらえると『やった!』って思えるんです。

 でも実際に演じるのは難しい。ボケ側って、つっこまれた後で言い返すじゃないですか。その反抗がどこか隙のある反抗じゃないと駄目なんだ。相手を完璧にやりこめるような反抗だと、喜劇ではダメなんですよ。一ヵ所突かれると、ガタガタっと崩れ落ちるような、どこか脆さのある反抗のしかたじゃないと。

 隙のない人間、隙のない芝居は喜劇的な人物とは違ってくる気がする。青臭い主張をするんじゃなくて、隙があってそこを笑われて、初めて存在そのものを許してもらえるっていう、セコいところで生きている小さな人間の色っぽさ。喜劇ではそういうものを絶えず考えます。

 でも一方では、小憎らしいとか、小賢しいとか、厭らしさのある悪い役を演じるのも好きなのよ。そういう人間はたいてい隙を相手に見せません。ですから『嫌なやつだな、こいつ』って思われようとする時は、隙のない人間として演じています。

 ただ喜劇はそうじゃない。特に山田さんの喜劇って、悪人が出てこないから。演じる時も隙を作ることは意識しています」

撮影■藤岡雅樹

※週刊ポスト2016年3月11日号

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