亀田製菓株式会社(本社・新潟市)の主力商品「柿の種」が、「ピーナッツを入れて販売して今年で50周年」というキャンペーンを展開している。取材してみると、お菓子から離れて日本経済の往時を偲ばせる切なさがあった。(取材・文=フリーライター・神田憲行)
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「柿の種」は恐らく日本人なら誰しも一度は口にしたことがあるお菓子だろう。昨年の売り上げは200億円を超えるという。それだけにその販売が今年で50周年というのは、「もうそんなに」とも「まだそれだけ」という感慨がある。とはいえちょっと引っかかるのは、「ピーナッツを入れて」という注釈がつくところだ。
「ピーナッツ入り」から周年記念を起算している理由ついて同社広報にたずねると、その理由はいつから「柿の種」そのものを生産しているのか、はっきりした年代がわからないからだという。そもそも「柿の種」はお米を利用した地元特産のお菓子として親しまれ、その創案は同じ新潟県内にある浪花屋製菓であるという。
「当社は『柿の種』に関しては後発メーカーなんです。ただ現在の形であるピーナッツを入れて全国展開したのは当社が初めてなので、そこから数えて今年50周年ということになりました」(同社広報部)
では「柿の種」にピーナッツを入れるというアイデアはどこから生まれたかというと、実はこれもよくわからないらしい。
「東京の帝国ホテルさんが、外国人のお客さん向けに『柿の種』とピーナッツを出していたという説もあれば、『柿の種』の湿気を取るためにピーナッツを入れ始めた、という説もあります」(同前)
意外と謎の多いお菓子なのである。