ビジネス

中国マネーは利用してナンボ そこから富を得るビジネスを

 爆買いは一段落したという報道もあるが、訪日外国人の急増とそれに伴う消費増は見逃せないと経営コンサルタントの大前研一氏は言う。日本だけでなく世界中で動いている中国マネーについて、大前氏が解説する。

 * * *
 政府観光局と国土交通省観光庁によると、2015年の訪日外国人客数は前年比47.1%増の1973万7000人、訪日外国人が日本滞在中に買い物や宿泊、飲食などに使った消費額は同71.5%増の3兆4771億円で、ともに過去最高を記録した。国・地域別ではどちらも中国が1位で、訪日客数は前年比約2.1倍の499万人、訪日客の消費額は同約2.5倍の1兆4174億円だった。

 とはいえ、中国人観光客や中国マネーは日本だけに押し寄せているわけでは、もちろんない。むしろ日本へ来ているのは規模が小さい。人数的には(安い)タイへの旅行者が一番多いし、アメリカのシアトルやハワイ、オーストラリアのシドニーなどでは、中国マネーによって不動産の優良物件の価格が数倍に跳ね上がっている。

 たとえばシドニーでは、大晦日恒例の盛大な年越し花火を見ることができる眺望抜群のマンションが、従来の1億~2億円から5億~7億円に暴騰している。中国国内では上海や北京の3LDK~4LDKの物件が8億円くらいするため、それに比べれば割安で安全ということで、中国人の金持ちが競うように買い漁っているからだ。

 さらに、習近平政権のトラ狩り(腐敗官僚の摘発)や不動産バブルの引き締めにより、国内の不動産投資が凍結された上に元安の傾向が見られるため、今のうちに海外に資産を移転しようとする動きが加速している。この数か月で45兆円もの中国マネーが海外に脱走したとも言われているが、個人で持ち出すのは難しいから、企業のM&Aに便乗した形で海外逃亡しているケースが多いと思われる。だから、このところ中国企業による海外M&Aが急増しているのだ。

 そして海外に持ち出した資金でホテルやマンションを丸ごと買い、それをまた中国人投資家に3倍、4倍の値段を付けて売っている。この流れは当分止まらないだろう。

 中国資本が席巻……と批判的に見る向きもあるが、バブル期の日本もハワイやロサンゼルスなどでホテルや商業ビルを続々と買収した。しかし結局、その大半はポシャってしまった。いずれ歴史は繰り返すと思えば、ここで目くじらを立てる必要はない。むしろ外部経済・中国マネーは利用してナンボと割り切って、そこから富を得るビジネスを考えればよいのである。

※週刊ポスト2016年3月18日号

トピックス

マムカ司令官
【ウクライナの戦場取材でYOASOBI】報道カメラマンがウクライナで戦うジョージア部隊「世界初の最前線取材」の許可を得るまで ドーベルマンとフィアット500に乗り、車内で『夜に駆ける』
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
ポータブルトイレの大切さを発信するYoutuber・わさびちゃん
「そもそもトイレの話がタブー過ぎる」Youtuberわさびちゃんが「トイレ動画」を公開しまくるようになったきっかけ「芸人で恥ずかしいこともないし、夫に提案」
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
YouTuber・わさびちゃんが「トイレ動画」でバズるまでの紆余曲折「芸人時代に“女”を求められたり、男性芸人から嫉妬されたり…」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
リシェット
戦場取材に欠かせない「フィクサー」とは? ウクライナ入りした報道カメラマンが紹介された“取材に愛犬を連れて来る男” ギャラは「1日1500ドル」と法外な金額に
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《多産DVを語ったビッグダディ》「子どもができたら勝手に堕ろすんじゃないぞ」4男6女の父として子供たちに厳しく言い聞かせた理由
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーとの2ショット(インスタグラムより)
《タダで行為できます》金髪インフルエンサー(26)と関係を持った18歳青年「僕は楽しんだから、被害者になったわけじゃない」 “捕食者”との批判殺到に反論
NEWSポストセブン