ベイリーがフサフサの尻尾を揺らしながら病室に入ってくる。すると、ベッドで泣いていた子供の顔がパッと輝いて、笑顔になる。
「お待たせ! 今日の調子はどう? そっか、つまんないのかぁ。じゃあ、ボクと遊ぼう!」
ベイリーは、まだ日本に2頭しかいないファシリティドッグの1頭。オーストラリアで生まれたあとハワイのトレーニングセンターを経て、2009年に日本へやって来た。パートナーの森田ハンドラーとはハワイで出会い、現在は24時間一緒に過ごす仲だ。
「ボクは何も特別なことをしているわけじゃないんだ。ただそばにいて、なでてもらったり、たまには一緒にお昼寝したりするだけ。なのにみんな『ベイリーがいてくれると元気が出る』って言ってくれる。どうしてだろう?」
たぶんそれは、ベイリーが「人間が大好き」で、「みんなもボクのことを大好き」だと信じているから。そう、ベイリーは人に対して100%の信頼感と愛情を持っているのだ。
「ボクは病院にいる時がいちばん楽しいんだ。時々『おうちに帰りたくない!』ってダダをこねて困らせちゃうくらい」
大人気のベイリーがひとつの病室にいられる時間は限られているけれど、子供たちは次にベイリーが来る日を楽しみに、つらい検査や処置を頑張るのだ。
ファシリティドッグはストレスを抱えた人々に愛情と安らぎを与えるようにトレーニングを積んだ犬。
彼らの活動は、寄付によって支えられている。詳しくはシャイン・オン!キッズHPへ。
【プロフィール】
名前:ベイリー ♂
年齢:8歳
種類:犬(ゴールデンレトリバー)
勤務先:神奈川県立こども医療センター
職種:ファシリティドッグ
主な仕事内容:入院している子供たちの部屋を訪問してなでてもらったり添い寝したりする。検査や処置の応援や、手術室までの付き添いも。
お給料:子供たちがくれるオヤツと、笑顔。
好きなこと:病院に出勤することと、オフの日の水遊び! 特に海は大好き!!
嫌いなこと:雷、花火、ゴミ収集車の音。
現在の悩み:拾い食いがやめられないこと。海でヒトデを食べておなかをこわしちゃったことも……。
将来の夢:病気の子供たちが、みんな元気になってほしい!
撮影■山口規子
※女性セブン2016年3月24日号