モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、スーパーカー世代憧れのクルマ、ランボルギーニ・カウンタックと同じ上に開くドアを装備した国産車について語る。
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ご同輩諸君。我々中高年はカーマニア世代であると同時に、スーパーカー世代でもある。スーパーカーブームは今から約40年前、1977年がピークだった。当時チビッ子たちの間で圧倒的な人気を誇ったのが、ランボルギーニ・カウンタック。カウンタックこそ“スーパーカーの神”だった。
ランボルギーニは、フェラーリの顧客だったトラクター会社の社長(フェルッチオ・ランボルギーニ)が、その品質や対応の悪さに腹を立て、フェラーリを超えるスーパーカーを作るべく、1962年に設立した会社だ。今から17年前に大資本のアウディ傘下となり、近年は特に業績伸長ぶりが著しい。
フェラーリの経営も絶好調だが、ランボルギーニはそれ以上に伸びている。昨年の日本での販売実績を比較すると、フェラーリが28%増の720台に対して、ランボルギーニはなんと87%増の349台。かつて5:1程度だった販売台数比率は、2:1まで接近した。
現在ランボルギーニが販売しているのは、カウンタックの血を引く旗艦のアヴェンタドール(4793万円~)と、やや小ぶりなウラカン(2462万円~)だが、諸兄の脳裏に焼き付いているのは、なによりもカウンタックの勇姿ではなかろうか。
それにしても、人が喜ぶクルマに乗るというのは、実に気分がいいものだ。カウンタック人気の最大の要因は、上に開くポップアップドアにある。横ではなく上に開くだけで、人々は大喜びするのである。
国産車でも、かつて2台だけ、ドアが上に開くクルマがあった。トヨタ・セラ(1990~1994年)と、マツダの軽自動車、オートザムAZ-1(1992~1995年)だ。どちらもカウンタック並みに希少だが、ともに中古車が100万円以下で買える。人生一度くらいドアが上に開くクルマに乗って、老若男女を喜ばせてみたらどうだろう? 助手席の美女も、スター気分に浸ってくれるかもしれない。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号