「私の手元にはお金は1円も返ってきていませんよ。K氏は協会に対して、当時うちの従業員だった人間(ある力士の元マネージャー)にお金を返したと証言していますが、その元従業員から私のところにお金が戻された事実もない」
K氏にもこの証言をぶつけたが、締め切りまでに回答は得られなかった。相撲協会もK氏の処遇などについての質問に「この件について、お答えすることはありません」とするのみ。K氏が受け取った1700万円もの裏ガネがどこにいったのか、疑惑は全く晴れていない。
そんなK氏が理事長選のキーマンとなり、両陣営は真っ向から対立したまま運命の3月28日を迎えるが、帰趨はすでに決したとする声もある。
「春場所前半戦に、八角理事長と大阪の維持員で構成される『東西会』の幹部の懇親会があった。東西会の中には、出羽海一門に大きな影響力を持つ幹部が数人います。八角理事長は彼らにはたらきかけて、理事長選の浮動票とみられていた出羽海一門の3票を固めたとみられている。
その見返りに木戸御免(※注/相撲協会が長年の貢献・援助などを理由に、個人に対して木戸口の無料入場を認めること)を乱発しているわけだが、背景にはK氏へのアレルギーもあっての結束だろう」(東西会メンバーの一人)
貴乃花陣営の劣勢は明らかで、協会関係者は「貴乃花親方は出馬を辞退するのでは」とまでいう。K氏という影の主役の存在によってより一層、ドロ沼化した理事長選。白黒はっきりした後も、禍根が残るのは間違いない。
※週刊ポスト2016年4月8日号