ライフ

今なお日本に残る「女人禁制の地」を4か所紹介

 日本各地には、人の立ち入りを拒むいくつもの「結界」が存在する。中には、「女だけ」「男だけ」をそれぞれ排除する聖域もある。たとえば、ある時代までは、山そのものが「女人結界」とされ、仏教の聖地である高野山や比叡山も「女人禁制」だった。今なお日本に残る女人禁制の地を4か所紹介しよう。

【舟木石神座】(兵庫県)

 淡路島にある石上神社の磐座。古代太陽信仰の遺跡群が点在する北緯34度32分の線「太陽の道」上にある。参道から女性は近寄れず、少し離れた稲荷社から神石を参拝するのが慣わし。

【石仏山】(石川県)

 能登町にある古代の祭祀遺跡。毎年3月になると、山の中腹にある巨石の前を祭場とし、豊作祈願の祭りが行われる。潔界山とも言われ、女人禁制の霊山として14歳以上の女子は立ち入ることができない。

【大峯山】(奈良県)

 吉野から熊野に至る山塊の総称で、中でも「山上ヶ岳」は修験道の本山として聖域化されている。上の写真は大峯山の山岳修行「西の覗き」の一場面。断崖絶壁に身を投げ出す荒行だ。1999年、性差別反対を訴える女性らが「結界門」を越えて登山を強行する事件が起こった。大峯山側は「信仰者の心を踏みにじる大変遺憾な行為」とし、女人禁制を当面堅持する方針を表明している。

【沖ノ島】(福岡県)

 三女神を御祭神にまつる宗像大社の三宮のうち、沖津宮がまつられる。玄界灘に浮かぶこの島からは10万点にのぼる古代の宝物が見つかっており、島内には祭祀に使われた土器などが今も残る。島全体が神域のため上陸は厳しく制限され、女性の立ち入りは禁じられている。2017年の世界文化遺産登録が期待されている。

【プロフィール】鈴木正崇 (慶應義塾大学名誉教授)すずき・まさたか:1949年東京都生まれ。文学博士。文化人類学者。民俗宗教、祭祀芸能の比較研究、民俗社会を中心とする日本文化論が専門。『女人禁制』(吉川弘文館刊)、『山岳信仰』(中公新書)など著書多数。  

※SAPIO2016年4月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン