芸能

『あさが来た』五代様 ワイルド路線から切り替えたその瞬間

五代様は最初のキャラ設定では“ワイルド路線”

 大人気のうちに最終回を迎えるNHK連続テレビ小説『あさが来た』。なかでも、五代友厚を演じたディーン・フジオカは、このドラマで一躍お茶の間の人気者になった。劇中で亡くなると、悲しみに暮れる女性が続出。「五代ロス」という言葉まで生まれた。五代友厚というキャラクターについて、脚本を担当した大森美香さんが解説する。

 * * *
 私は朝ドラは『ちゅらさん』(2001年)が好きだったんです。ヒロイン恵里(国仲涼子)の弟・恵達を演じた山田孝之さんが、このドラマをきっかけにブレークしたと思います。

 そうした朝ドラからすてきな俳優さんを発見する楽しみや喜びを『あさが来た』でも味わってもらいたかったんです。なので、すでにテレビで活躍している役者さんではなく、歌舞伎などの伝統芸能や音楽、スポーツで活躍している人から探しました。

 自分でそうした有名人の名簿みたいなサイトを見つけて、何百人と調べました。気になった人がいたら、事務所のページにアクセスして、その人の写真や動画を見て地道に調べ、NHKの制作スタッフと話し合った結果、ディーンさんに決まったんです。

 当初は、ソフトな新次郎さんと対比させるため、五代様はワイルドに行こうかと思っていたのですが、16回の時、洋装で現れた五代様があまりにもかっこよかったので、スタイリッシュ路線に変更しました。

 こんなに五代様、五代様と言ってもらえて、ディーンさん自身も人気者になるなんて、想像していませんでした。とてもうれしいです。

――劇中では“立ち聞き”のシーンが多いが、それはどうしてなのだろうか?

 劇中では、誰かが誰かの話を立ち聞きするシーンが多いんです。それは、人から指摘されて初めて気がつきました。誰かが温かい目線でこっそり見ていてくれたらいいなという気持ちが私の心のどこかにあるのかもしれません。

 盗み聞きというよりは、誰かが「うふふ」と言いながら、見守ってくれている、包んでくれているという温かさが好きなんだと思います。

 その温かさを表す立ち聞きの象徴的なシーンが141回にある。縁談破談で落ち込む千代を心配したあさが、彼女の部屋の外で様子を窺う。千代の笑い声が聞こえてくると、あさは安心してその場を立ち去っていく。

 当時は、1つ屋根の下にたくさんの家族が暮らしていましたから、あささんにも新次郎さんにも、立ち聞きさせやすかったです。

 * * *
 取材日は3月中旬。最後の台本を書き終えてから約1か月後のことだった。

「台本を書き直せるなら、1話からまた全部書き直してもいいと思っています。すでにでき上がった台本はすごく愛しているので、第2のバージョンとして書いてみたいです」(大森さん)

 大森さんは、登場人物を呼ぶときには、必ず「さん」や「ちゃん」をつけていた。まるで自分の友達や知人について話すように──。

※女性セブン2016年4月14日号

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン