ロシアに関しては、プーチン大統領の親友で音楽家のセルゲイ・ロルドゥギン氏の名がパナマ文書に掲載されていると報じられた。
〈ロシアのプーチン大統領は、タックスヘイブン(租税回避地)を利用して親友の音楽家らが20億ドル(約2200億円)を取引したとされる「パナマ文書」の疑惑に対して「(親友は)ロシアのために楽器を買っていただけ」と弁明した。しかし、これを信じる国民は少ないようで、批判はさらに広がっている。
独立系メディアは、この発言の信ぴょう性をすぐさま検証。「単純計算で20億ドルあれば、平均的なピアノ約5万台、バイオリン約13万丁、チェロ148万丁、フルート139万管、ビオラ44万丁を全部購入し、お釣りで(バイオリンの名器)ストラディバリウスも2丁買える」と伝えた。
有力経済紙ベドモスチ(電子版)は「2015年に輸入された楽器は(20億ドルの40分の1に当たる)総額5000万ドル弱」との統計を伝え、プーチン大統領の発言に疑問を呈した。〉(4月9日「時事通信」)
ロルドゥギン氏らが20億ドルもの楽器をロシア国家のために購入したという説明が、説得力を欠いていることにプーチン自身が気付いていない。プーチン大統領や家族の事案でないのだから、沈黙するのが賢明な対応なのにそれができなかった。
率直に言って、プーチン大統領の危機管理能力がかつてなく低くなっている。
※SAPIO2016年6月号