ビジネス

税務署は国民の資産を把握 相続税の申告漏れは必ずバレる

相続税の申告漏れは必ずバレる

「相続税は、昨年1月の法改正で、多くの家庭に関係する問題になりました」と話すのは、税理士の五十嵐明彦さん(「」内以下同)だ。

「相続税が免除となる“基礎控除”は、相続1件に対し3000万円に。改正前は5000万円あったことを考えると、かなりの増税です」

 基礎控除は相続人1人につき600万円を上乗せできるので、きょうだいなど相続人数が多ければ控除枠は広がる。例えば、相続人1人なら控除額合計3600万円のところ、2人なら4200万円に。この基礎控除額を超えた部分の遺産に、相続税がかかる。

 五十嵐さんによれば、親の金融資産が2000万円ほどあり、さらに、一戸建ての住宅を所有している場合は、グレーゾーンだという。

「実際に相談を受けたケースで、改正前なら納税額が0円だったはずが、改正後は300万円も相続税がかかることになった人もいました」

 では、相続税は実際どのぐらいかかるものなのか──。父はすでに他界。母が亡くなり、5000万円の遺産を兄と2人で相続することになったケースを例にしてみよう。

 基礎控除は4200万円なので、課税対象となる遺産は800万円。それを2人で割った400万円の税率は10%なので、税額は1人40万円ずつになる。

「相続税は、相続発生後10か月以内に現金で一括払いが原則。遺産が不動産しかない場合、売却するか、自分たちの預貯金から払うことになるので、現金が用意できず借金をするかたも増えています」

 期限までに納めないと「無申告加算税」として10~15%のペナルティーや延滞税も加算される。だが、申告制なら黙っていればわからないのでは…と思ったら──。

「税務署は国民の資産状況をほぼ把握しています。亡くなると、税務署にも死亡通知がいき、資産があるのに、相続税の申告がない人は、“必ずバレる”と思ってください」

 だからこそ、対策は必須だ。

「相続税対策ができるのは、生前のみ。まずは親の遺産の状況を調べ、相続税がかかりそうなら、早めに対策を講じること。そうすれば、0円にすることも可能ですよ」

※女性セブン2016年6月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン