国内

介護士 経験や勤続年数が長くても、給与に反映しない面も

 介護士の職種は、家で介護する「ホームヘルパー」と、施設で介護を行う「福祉施設介護員」の2つに分けられる。

 前者の平均月収は22万1500円で後者は21万5500円。介護施設には、介護員と同じように専門知識が必要なスタッフも常駐しているが、例えば看護師は平均32万8600円、理学療法士が平均27万4700円といわれている。単純に比べても介護士の賃金は彼らより10万円も低い。

 経験や勤続年数が長くても、それが給与に反映しない面もある。勤続13年になる児玉美智子さん(仮名、35才)は、ここ数年昇給はない。時間外手当も住宅手当もない。介護福祉士の資格もないので、主任手当7000円がついても手取りで19万円台。

「働かない同僚も多いなか、できる限り工夫して働いているのに一緒に扱われて同じ評価です。これでは士気も下がりますし、まじめにやる人がいなくなりますよ。一般企業のように施設でも査定してほしいですね」

 下の表をご覧いただきたい。

ある医療法人有料老人ホームのスタッフ給与
役職名  持っている資格  給与
課長   介護福祉士    272,835円
主任A   介護福祉士    248,515円
主任B   介護福祉士    241,440円
副主任A  介護福祉士    222,728円
副主任B  介護福祉士    208,728円
副主任C  ホームヘルパー2級 208,432円

 これは関東近郊のある施設の給与一覧だ。課長になれば27万円が保証されるが、勤続17年の主任では25万円弱。同じく勤続17年の副主任だと、資格を持ち役職についているが21万円弱だ。

 どうしてこんな事態が起きてしまうのか?

「政治家のかたなどのなかには、“自分の家族なんだから自分で面倒を見るべきであって、国のお金でやることじゃない”と主張する人もいる」

 と指摘するのは公益社団法人全国老人福祉施設協議会事務局長の天野尊明さんだ。

 実際に安倍政権は同居のための増築に支援金を出すなど3世代同居を奨励する政策を打ち出しているが、「お金をあげるから自分たちでやりなさい」と、子育てと介護のダブルケアをすすめているといっても過言ではない。しかし実際には介護を苦にした自殺や殺人が後を絶たない。

「もともと3世代同居が当たり前だった頃、介護は家族のなかで何とかやれていました。しかし核家族になって、家庭内で介護する力がなくなったため、介護のために自分の生活を不本意に変えざるを得なくなるような人が出ないように、社会で支えましょうとなりました。プロとして介護の道を選んだ専門性の高い介護福祉士の資格をもっと評価し給与をアップするべきだと思います」(前出・天野さん)

「経営者になったからといって、お給料が増えるわけではない。むしろマイナスです」

 ため息交じりに現状を話すのは、群馬県でデイサービスセンターを経営する水上洋子さん(仮名、46才)。
 
「うちは、営利法人・株式会社だから法人税も取られるし、1日の利用者定員が決まっているから、利益を増やすこともできない。デイサービス経営の収入だけで私個人のお給料をまかなうと、スタッフの給与もさらに少なくなってしまう。だから自分の給与分はケアマネの仕事を別でやってまかなっているのが現状です。

 それでも足りない月は、自分の貯金から下ろして補てんしたり…。これじゃあ、いい人材がくる訳がないですよね」

※女性セブン2016年6月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された
《水戸市・31歳ネイリスト女性死亡》「『誰かのために働きたい』と…」「足が早くて活発な子」犯人逃走から6日間、地元に広がる悲しみの声
NEWSポストセブン
浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化
《声をかけて寄り添って》浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化 沈黙から一転、見られていた「雪解けの予兆」
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された秋篠宮家次女・佳子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀で見せた“ハート”》佳子さま、“お気に入り”のエメラルドグリーンドレスをお召しに 刺繍とハートシェイプドネックがエレガントさをプラス
NEWSポストセブン
元仙台高裁判事の岡口基一氏
「裁判所当局が嫌がった核心は白ブリーフだった」 弾劾裁判で法曹資格を失った岡口基一氏が振り返る「岡口裁判の急所」とは 裁判所と司法記者クラブの問題点も指摘
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された皇后雅子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀の“ブルーリンク”コーデ》皇后雅子さまはスタンドカラーでフォーマルに、愛子さまはマオカラー風で親しみやすさを演出
NEWSポストセブン
ネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された水戸市のアパート
「赤ちゃんをかばおうとしたのか…」「複数の凶器で犯行」水戸市で死亡のネイリスト女性(31)がかつて警察に相談していた“人間関係トラブル” 
NEWSポストセブン
1995年、チャリティーゴルフ前夜祭に参加した“ジャンボ”こと尾崎将司さん(左)と長嶋茂雄さん
【追悼・ジャンボとミスターの物語】尾崎将司さんと長嶋茂雄さん、昭和のスポーツ史に名を刻んだレジェンド2人の重なる足跡 ライバルと切磋琢磨し、後進の育成に取り組んだ
週刊ポスト
松田烈被告
「スマホから『映してください』と指示の声が…」ネットで“性的暴行してくれる人を募集”した松田烈被告(28)、被害女性が語った“外道すぎる犯行”
NEWSポストセブン
真美子さん(共同通信)が使用していたブランドとは
《ハワイ・ファミリーデートで真美子さんが持っていたプチプラバッグ》「同年代インフルエンサーのアスレジャーブランド」か?と話題に 実用性の高いトートバッグ、大谷は「娘のベビーカー担当」
NEWSポストセブン
郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「奥羽山脈周辺に“異常変動”が集中」「千葉県が大きく沈降」…2026年初めに警戒すべき5つの地域
週刊ポスト
ジャーナリストの溝口敦氏(左)とフリーライターの鈴木智彦氏
《溝口敦氏×鈴木智彦氏が対談》山口組抗争終結後の暴力団 勝ったはずの六代目山口組含めて勢力は縮小、トクリュウのほうが経済規模も大きく勢いがある現状
週刊ポスト