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ファーストキッチン売却へ バーガー再編には共倒れリスクも

すでに実験的に始めているコラボ店舗(上野浅草口店)

 サントリーが1977年に創業した日本発のハンバーガーチェーン「ファーストキッチン」が、米国に本拠を置く世界3位のバーガーチェーンである「ウェンディーズ」に売却される見通しとなった。

〈Shake Handsプロジェクト、始動〉──。昨年3月に両社の主力商品を出し合ったコラボ店「ファーストキッチン・ウェンディーズ六本木店」(東京・港)を、同年8月には上野でコラボ2号店を開くなど、すでに将来の“統合効果”を探る試みは行われてきた。

 実際、ダブルブランド店の相乗効果はあったのか。フードコンサルタントでバーガー研究家の肩書きも持つ白根智彦氏がいう。

「ウェンディーズのハンバーガーはどれもボリューム感があり、分厚い肉をしっかり食べたい男性には満足できる店。片やファーストキッチンは『ベーコンエッグバーガー』のような人気メニューはあるものの、いまやハンバーガー店の枠組みを超えています。パスタやスイーツなどカフェ的なメニューを網羅し、男性よりも女性客の比率が高い。

 そんな2チェーンが一緒になることで、幅広い客層を呼び込むことには成功しました。コラボ店は客数だけでなく売り上げも当初の想定以上だったようですしね」

 だが、経営主体が完全にウェンディーズ側に移る今後、両ブランドをコラボ店そのままに併存させていくことは容易ではない。

 現在、ウェンディーズは国内でコラボ2店以外、直営店はわずか1店しか展開していないのに対し、ファーストキッチンは業界4位の規模で135店ある。つまり、日本市場では“小が大を飲み込む”形になったことが事を複雑化させている。

「本来、経営権を握るウェンディーズは本国のオペレーションシステムに従い、既存のファーストキッチン店舗の看板を自ブランドに替えたいところでしょうが、地方のショッピングモール内などにあるファーストキッチンは女性客やファミリー層を掴んでいることもあり、ガッツリ食べたいウェンディ―ズとは客層が異なります。

 ならば、六本木や上野で成功したコラボ店にすべて替えてしまえばいいかというと、その形態を広げるのは難しいでしょう。客数の見込めない地方で両ブランドのハンバーガーやパスタ、デザートまで扱うには商品数が多すぎて調理も非効率です」(前出・白根氏)

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