国際情報

習近平主席と李克強首相の対立激化 次期首相は習氏腹心か

 中国共産党の序列ナンバー1の習近平国家主席と、序列ナンバー2李克強首相との対立が激化しつつあるとの見方が広がりつつある。そんななか、来年秋の中国共産党の第19回党大会の最高幹部人事で、李氏は党政治局常務委員を解任されるか、あるいは再任されても、翌年春の全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)で首相の職務を解かれ、全人代委員長に横滑りする可能性が出ていることが分かった。

 その後任として、習氏の信頼が厚い腹心で、経済政策全般を任されている劉鶴・党中央財経工作指導小組(グループ)弁公室主任が首相のダークホースとして急浮上しているという。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が伝えた。

 習氏と李氏の対立は以前からも伝えられていたが、2人の険悪な関係が明るみに出たのは今年3月初旬の全人代の冒頭、李氏が政府活動報告を終えた後、ひな壇に戻ってきた李氏に隣席の習氏は握手すらせず会話を交わすこともなく、一顧だにしないという異様な光景が衆人環視の中で展開されてからだ。

 さらに、2人の政策が明らかに対立していることが分かったのが5月9日付の党機関紙「人民日報」の報道からだ。同紙は「権威人士」なる最高幹部かあるいは最高幹部に連なるブレーンとみられる匿名の人物への長文のインタビューを掲載した。

 その内容は中国の経済情勢や経済政策に関する見方で、権威人士のインタビュー内容は李氏ら政府高官の立場と明らかに食い違っていた。まず、経済の現状認識について、政府高官は今後はV字型、あるいはW字型と成長率は今後も上昇するとの見方だが、権威人士はL字型と、低迷が長引くとして、政府の発表とは全く異なった見方を披露した。

 このほか、今後の個別の金融・経済政策や将来的な構造改革の方法などもことごとく食い違っており、「権威人士」は李氏と対立する習氏本人か、あるいは習氏の腹心との憶測が広がっていった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン