国内

「京大3兄弟」長男の教育論 親が子供と社会の接点を作る

学習塾『探究学舎』の運営者・宝槻泰伸さん

「小さいころから、将来の目標を持ち、それに向かって励むなんて、一部の子どもにしかできない」――そう思う親はきっと多いだろう。

「本来勉強は楽しいものだ」と、学習塾『探究学舎』の運営者・宝槻泰伸さん(35才)は言う。

 泰伸さんは、2015年5月から女性セブンに連載していた教育コミックエッセイ『ホーツキさんちのオヤジ』(マンガ・小出真朱)の原案協力者。同作は、3人の息子を高校にも塾にも行かせず京都大学に進学させた父親の破天荒な教育論を描いたマンガで、泰伸さんは、3兄弟の長男だ。泰伸さんに親の子どもへの接し方を語ってもらった。

 * * *
 子どもに教育投資をしてください。学校以外の居場所をどんどん作ってあげましょう。学校は、知識と技能を学び、共通体験を得る場でしかありません。共通体験とは、具体的には体育祭や部活、修学旅行といった、同級生と一緒に楽しむイベントです。

 この場所で、人生の目標を培うことは難しい。2020年に教育改革(大学センター試験が廃止されて、「大学入学希望者学力評価テスト<仮称>」が実施される予定)をしても、しばらく学校はそういう場であり続けるでしょう。

 保護者のかたの中には、「うちの子は、学校以外にサッカースクールに通っている」とおっしゃるかたがいます。果たして学校とサッカースクールの往復だけで、人生の目標を見つけられるでしょうか? なかなか難しいことだと思います。

 人生の目標を探すには、社会を知り、それを通して自分を知る必要があります。ですから「これをやってみる?」「こういうのもあるけどどう?」とさまざまな、体験の機会を提案してほしい。

 たとえば、ピースボートという世界一周旅行する船に乗って国際理解を深める。パソコンのプログラミング合宿に参加して自分のスキルを試してみる。学校の成績に関係がなさそうな一見、無駄なことこそ重要なんです。それを意味がないと決めつけるのは、子どもの可能性を認めていないことになります。

 うちのオヤジは、子どもが社会を知ること、社会に飛び込むことを何よりも優先してくれました。子どもと社会の接点を作ってあげる。これが大切です。

 一方、まず学校の勉強についていくことが第一歩と考える保護者のかたもいると思います。そのためには、人生の目標とはまた別の教育が必要になります。子どもの地頭を鍛えてあげましょう。

 たとえば、キャンプに出かけてみる。キャンプは、柔軟性がないと臨機応変な対応ができません。計画性がなければ命にかかわる事態に陥ることもあります。キャンプは、物事を段取りする能力が鍛えられます。その力は、学校で勉強をする際に必ず役立ちます。

 トランプや麻雀もおすすめです。作戦を立てる力がつき、問題を解くための筋道を立てられるようになります。地頭を鍛えれば、学校の勉強は、すぐにできるようになります。そういった段階を踏まず、学校の勉強だけに興味を持たせようとするのは至難の業です。

 とにかくいい学校に入ればいい。机に向かってコツコツ勉強するのはいちばんだ。その価値観は今すぐ捨て去って、子どもに接してください。

※女性セブン2016年6月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン