芸能

歌舞伎界に降りかかる受難の連続 新歌舞伎座の怪との声も

「歌舞伎座の上には守り主がいる」と語ったという海老蔵

 6月9日、海老蔵(38才)が妻の麻央(33才)が進行性の乳がんで闘病中であることを明かした。がんの発見は1年8ヶ月前に海老蔵と受けた人間ドックだったという。

「麻央さんががん闘病していることは、市川宗家と近い梨園の重鎮である尾上菊五郎さん(73才)や中村吉右衛門さん(72才)は知っていたようです。ある重鎮は“なぜこうも歌舞伎界に受難が続くのか”と漏らしたそうです」(歌舞伎関係者)

 この数年、「50才から75才くらいまでがいちばん技量が磨かれる」といわれる歌舞伎界で、50代、60代の若さでスター役者が次々と早世する悲劇が続いている。

 2012年12月、当代きっての千両役者、中村勘三郎さん(享年57)が急逝。その直後の2013年2月には海老蔵の父親・市川團十郎さん(享年66)が肺炎でこの世を去った。

「2人の死は、客が呼べる役者がいなくなったということだけでなく、将来の歌舞伎界にとっても大きな損失でした。勘九郎や七之助、海老蔵は人気はあっても芸が未熟。彼らを厳しく教え導く師匠がいなくなってしまったんですから」(前出・歌舞伎関係者)

 また、昨年2月には踊りの名手として知られた坂東三津五郎さん(享年59)がすい臓がんで亡くなっている。

「そうした悲しい出来事が続いていることを、歌舞伎にかかわる人々の間では『新歌舞伎座の怪』と囁く声も聞こえてきます」(前出・歌舞伎関係者)

 2013年4月にリニューアルオープンした東京・東銀座にある新歌舞伎座。明治時代の1889年に創設された初代から、関東大震災や東京大空襲での焼失を経て、現在で五代目の歌舞伎座となる。

 その先代歌舞伎座が老朽化のため2010年10月に取り壊しとなってから、歌舞伎界を続けざまに不幸が襲っている。

 まずは建て替え工事に入った直後の11月。海老蔵が東京・西麻布のバーでトラブルとなり、左上顎骨折、陥没骨折で全治2か月の大けがを負った。「日頃の自分のおごりが招いたことだと思います」と涙ながらに謝罪した海老蔵だが、それから翌年7月までは謹慎を余儀なくされた。

 2011年1月には人間国宝の五代目中村富十郎さん(享年81)が直腸がんで死去。同年10月には同じく人間国宝の七代目中村芝翫さん(享年83)が肝不全で、2012年2月には人間国宝の四代目中村雀右衛門さん(享年91)が肺炎で亡くなった。

 同年8月には市川染五郎(43才)が公演中に舞台から約3m下の奈落へ転落し、右手首骨折の重傷を負う事故が起きた。現場に居合わせた父・松本幸四郎(73才)は「血の海だった」と、一時は最悪の事態まで覚悟したという。

 その後は前述のように、勘三郎さん、團十郎さん、三津五郎さんの訃報が続いた。

「歌舞伎座の上には守り主がいる。後ろにあんな高いビルができたら舞台の神様も降りてこないよ」

 海老蔵が2012年10月、新歌舞伎座について漏らしたとされる言葉だ。

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