国内

「舛添辞職」の語り方 人間性を判別するヒントになる

次の都庁の主は?(写真:アフロ)

 舛添要一東京都知事が辞職を表明した。いささかうんざりだったこの騒動、意外に人間関係に活用できるという。大人力コラムニストの石原壮一郎氏が分析する。

 * * *
 今回は舛添さんについて書きますぞえ。……いや、その、すいません。思いついたはいいけど今しか書けないので、勇気を振り絞ってみました。

 まあでも、こんなくだらない書き出しがよく似合う、なんだかトホホな騒動でした。べつに舛添さんの味方をするつもりはないし本人に問題が多々あったのは確かでしょうけど、あんなにわかりやすい構図で仕立て上げられた「イジメてもいい対象」に、あんなにたくさんの人が素直に石をぶつけるなんて。日本は平和だってことなんでしょうか。

 ほかの政治家のもっとタチの悪い悪事はどうなのかとか、セコイのは確かだけどそれってそんなに騒ぐようなポイントなのかとか、そういう面倒臭そうな話はさほど盛り上がりませんでした。きっと、心置きなく「正義の怒り」を爆発させられるかどうかが重要なんですね。さて、次はどんな標的が現われるんでしょうか。

 おもに「どうでもいいよ」と思っていた人に向けて、世間の関心がまだ少しだけ残っている今のうちに、あの騒動の活用法を考えてみましょう。オススメなのが、辞職騒動をどう語るかによって、相手がどういう人かを推し量ること。それによって接し方や付き合い方も考えて、うわべの人間関係を円滑に保つ一助にできそうです。

 まずは「本気で怒っているタイプ」。こういう人は、無理にひねったことを言おうという了見なんて持たず、その時々の「世間の空気」に合わせることに抵抗がない善良な人であるのは確かです。基本的には親切で、いっしょに酒を飲みながら上司の悪口を言ってくれたり、会社の理不尽さに憤ったりしてくれるでしょう。

 ただ、なんせ空気を読むのは得意なので、何かの拍子にこっちの旗色が悪くなったら手のひらを返すかもしれません。また、毒のあるシャレや冗談は、通じないだけでなく思いがけない地雷を踏む可能性が大。そのあたりに気を付けて当たり障りのない会話を心がければ、いい関係を築けるでしょう。

 続いては「『まさに衆愚政治の象徴だ』と言いたがるタイプ」。言い方はさまざまですが、辞任問題を引き合いに出しながら日本の現状や日本の政治を嘆くというのが、ここ数日ちょっと流行しています。この原稿も同類に見られそうですけど、ここでは日本全体や政治状況について語るつもりはまったくないので、ちょっと別だと主張させてください。

 そういう語り方をしたがる人が主張したいのは「俺は単純に怒っているヤツらと違って、おりこうさんである」ということ。結局、時流に乗せられて聞いたようなことを言っている点では似たり寄ったりなんですけど、本人は「自分にしか言えないことを言っている」と思っています。心に余裕があったら「さすが○○さんだね」と感心してあげて、満足そうなテレ笑いを見るのも一興。話を聞くのが面倒くさいときは「次の都知事は誰がなるのかな?」と聞けば、とくに明確な意見はないので黙ってくれるでしょう。

関連キーワード

トピックス

谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン