物言わぬペットのとっさのトラブルに、どう対処すればいいのか、悩んだ経験がある人は多いのではないだろうか。
「うちの愛犬は、1才のヨークシャーテリア(♂)です。人間の食べ物は食べないようしつけていたのですが、先日、外出先から帰ってきたら、テーブルの上に置いておいたキャラメルを食べていました。こういう場合は、無理にでも吐かせたほうがいいのでしょうか?」千葉県・ユウナ(40才・自営業)
この悩みに、『動物たちのお医者さん』(小学館ジュニア文庫)構成などがある、白金高輪動物病院総院長の佐藤貴紀さんが答えてくれた。
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犬の嗅覚は、人間の1億倍以上といわれています。特に犬は、甘い物が大好物。その香りを敏感にキャッチします。ユウナさんのワンちゃんもキャラメルの香りに誘われ、食べてしまったのでしょう。
キャラメル自体は犬にとって害はないので、無理に吐かせたり、病院に連れていく必要はありません。しかし人間のお菓子は、犬にとっては糖分が多すぎ、肥満や糖尿病の原因に。今後は食べないように注意していきましょう。
犬がお菓子をくわえている状況を目撃したら、飼い主さんは、まず冷静になりましょう。そして、おもちゃや犬用のおやつなどと交換をしてあげて。大声で怒鳴ったり、無理に取り上げようとすると、犬は驚いてのみ込んでしまう恐れがあるので、絶対にしないこと。食べ物が口の中に残っている場合は、手で取り除きます。何を食べたかわからない場合はすぐに動物病院へ。
犬が食べてはいけない食品は多く、代表的なのが、玉ねぎなどのねぎ類です。アリルプロピルジスルフィドという成分が赤血球を壊し、貧血の末、最悪、死に至らしめます。そしてチョコレート。カカオに含まれるテオブロミンが、心臓や神経系を刺激し、不整脈によるけいれんや嘔吐などのさまざまな症状を招きます。
最近では、ぶどうの摂取により問題を起こしたケースも報告されています。尿の回数や量が増えたり、逆に極端に減るような症状があらわれ、衰弱、食欲不振などが起こって、急性腎不全を起こします。
もしこれらの食品を誤って食べてしまったら、まずは口の中に残っているものを取り除きましょう。犬が吐きたそうにしていたら、逆さにするなどして吐かせる手助けを。
昔は病院でも、食塩水を飲ませて吐かせる方法が主流でしたが、腎臓などへの負担がかかるため、今は行っていません。家庭で食塩水を飲ませるなどの処置は絶対にしないこと。迷ったらすぐ病院へ。
犬は食べていいものと、悪いものの判断がつきません。食べてはいけない食品は手の届かない高い場所に置くなど、飼い主側がトラブルを防ぐよう気をつけてあげてください。
※女性セブン2016年6月30日号