芸能

真田丸 平岳大、清水ミチコら出番少ない役者の演技も高評価

『真田丸』には個性的なキャラが集結(公式HPより)

 1月のスタートから今も視聴率好調が続くNHK大河ドラマ『真田丸』。個性的な役者が印象深いキャラクターを演じているのが魅力のひとつだが、それは出番が少ない役者の演技でも同じ。時代劇研究家でコラムニストのペリー荻野さんが、“独自の基準”でピックアップした意外な5人について綴る。

 * * * 
 そんなわけで、7月に入り、『真田丸』も後半へと折り返した。このドラマの特長は、出番が少ないのに強烈な印象を残す登場人物が多いこと。そこで今回は、そうした一発芸のような人物を再検証し、「『真田丸』上半期この人がよかった大賞」を勝手に認定してみたいと思う。ノミネートの条件は、3話以上出演していない人物(回想シーンを除く)である。
 
 エントリーナンバー1は、「武田勝頼」。第1話、主人公の幼少時代が描かれず、いきなり武田滅亡から始まるとは正直意表を突かれたが、真田昌幸(草刈正雄)らがなんとか救おうと奔走したのに、勝頼は結局家臣に裏切られて果てる。演じた平岳大はそれまで感じの悪いエリートを演じることが多かったが、ここでは滅びゆく名門の跡取りの悲哀を静かににじませる熱演だった。
 
 エントリーナンバー2は、織田信長。戦国のカリスマ、大魔王的存在だが、このドラマで主人公の信繁(堺雅人)の前に現れるのは、わずか数分。第4話の初対面シーンでは、信長が履くブーツが映っていたのが22秒、吉田剛太郎の顔が映ったのが37秒であった。(計測はペリー)

 エントリーナンバー3は、明智光秀。第4話で信長に足蹴にされ、顔から血を流した光秀。朝のワイド番組『いっぷく』で上品な知識人ぶりを見せていた岩下尚史の光秀は、大河ドラマ史上もっともなよっとした光秀にも見えたが、その回のラストでは、甲冑姿で「敵は本能寺にあり」と信長を襲撃するという大変化を遂げた。

 エントリーナンバー4は、各方面でも話題となった徳川家康の妹旭と母のなか。仏頂面で(それでも笑っている)家康の前で一切セリフを言わないという信じがたい旭と、高度な名古屋弁を駆使して小日向文世や鈴木京香など居並ぶ豊臣家俳優を圧倒したなか。清水ミチコと山田昌にしかできない場面であった。

 エントリーナンバー5は、伊達政宗。奥州の覇者として、恐ろし気な男だと言われてきたが、いざ、秀吉の前に出るとハイハイと掛け声を上げながら自ら餅をつき、「豆をつぶしたあんを乗せれば、名物ずんだ餅!」とにこにこ顔。できることなら伊達と手を組んで天下をひっくり返そうなどと思っていた真田昌幸もお調子者政宗を見て、カックン。長年、大河ドラマを見て、渡辺謙が主演した豪快な伊達政宗などに感動していた視聴者もカックン。ただし、ずんだ餅政宗には「もう二十年早く生まれておれば」「もっと京の近くで生まれておれば」という悔しさがあるのだった。演じた長谷川朝晴は硬軟さまざまなドラマに出演しているが、ビュインと刀を抜く動きは見事。タダモノではない気配が。

 以上、エントリーしてみたが、ここでおひとり番外編を。このドラマでは初回から亡くなっていた武田信玄役の林邦史朗さん。林先生は大河ドラマの俳優・殺陣師として半世紀近く番組に関わってきた。大河ドラマの主役はほとんど林先生の指導を受けてきている。「ぼくは龍馬を三回斬った」というほど出演作も多く、大河ドラマの生き字引のような方で私も多くのことを教えていただいた。残念ながら、昨年76歳で急逝。この武田信玄が遺作となった。今頃、空から『真田丸』を見ていることだろう。

 さて、揃ったところで誰が「この人がよかった大賞」か。個人的には、多くの人をカックンとさせ、あんなおちゃらけた独眼竜は見たことないという点で、伊達政宗を推したい。いかがでしょうか。みなさんの中には、どんなキャラが心に残っているか? 覚えていたら、下半期にお会いしましょう!

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
蝦夷富士という名前もある羊蹄山(イメージ)
《ブローカーが証言》中国人らが日本の不動産取得でもくろむ乱暴な開発計画 「日本の役人は言うだけで実力行使はしないと聞いている」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
元横綱・白鵬の宮城野親方に相撲協会はどう動くか(八角理事長/時事通信フォト)
八角理事長体制の相撲協会に「70歳定年制」導入の動き 年寄名跡は「105」しかないため人件費増にはならない特殊事情 一方で現役力士が協会に残ることが困難になる懸念も
NEWSポストセブン
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン