前述したように僕は、古文を『グノーブル』で、高1の1年間学習した。それは高校2年、3年の間は、国語以外の科目を勉強したほうが、理系の場合受験には有利で、「高1の1年間で古文を完成させられるグノーブルの講座をとっておくとよい」と、学校で聞いたからである。おそらくこの手の有益な情報は、筑駒のようなトップ進学校に通っていない場合、手にいれることが難しいと考えられる。
このように進学校にいくことのメリットは受験に関する情報、さらに言えば塾に関する情報が手に入りやすいことにあると思われる。
では、受験において一番大切なものはなにか?
それは環境である。朱に交われば赤くなる、のいい意味バージョンのようなものである。例えば田舎の人知れない高校から東京大学理科I類に合格するほうが、筑駒から東京大学理科III類に合格するより難しいのではないかと感じる。
自分の周りが「みんな理IIIを目指している」「お世話になった先輩は理IIIに受かった」というような環境にいれば、おのずと自分も「理IIIに受かるのでは?」と思えてくるのである。
僕に関していえば、父も叔父も理IIIに現役合格しているので、理IIIに対する精神的ハードルはさらに低かった。
受験に限らず、ある目標があるとき、自分はそれを実現できると信じていれば本当に実現できるものだと思う。どうしてそうなのか僕は説明することができないが、経験的に導かれる帰結である。そういった意味でかつての進学校は受験に最適の環境を与えてくれるという意味があった。
しかし現在は塾にいけばライバルがたくさんいて、東京大学理科III類などに通う先生たちと接する機会も多く、受験への精神的ハードルを下げることができるので、受験への環境をそろえるという点でも、進学校に通うことはマストではなくなっている。
ただ一方で、筑駒をはじめとした進学校に通うことのメリットは受験以外の視点でみれば多くある。それらのメリットはまた別の機会で述べようと思う。
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針間貴己(はりま・たかき):19才。この春、現役で大学受験の最難関である東京大学理科III類に成績上位入学。現在は学業のかたわら、学生起業家としてアプリを開発するほか、「日本一チャラい、イマドキ東大生(イマ東)」としてのテレビや雑誌などメディア出演も多い。夢は、医療系ベンチャーの起業で世界を変えること。ツイッター(@harimatakaki)での発信にも注目が集まる。