ビジネス

マンション広告 「ポエムの世界」に騙されてはいけない

「マンションは広告に頼らずとも売れる」と榊氏(写真:アフロ)

 建設費や人件費の上昇などに伴う価格高騰で、販売不振に陥っている新築マンション。不動産経済研究所の調べによると、今年1月から6月までに首都圏で売り出された新築マンションの販売戸数は、昨年同期比より19.8%減少し、バブル崩壊後の1992年以来の低水準になったという。

 そこで大手デベロッパーは少しでも消費者の購入意欲を掻き立てようと、チラシやオフィシャルサイトなどを使い、主力物件の広告合戦を繰り広げている。だが、「派手なイメージ広告に騙されてはいけない」と話すのは、住宅ジャーナリストの榊淳司氏だ。

 * * *
 新築マンションの広告は、よく「ポエム」と呼ばれる。その理由は、あまりにも現実とかけ離れているからだ。いくつか例を挙げてみよう。

 数年前に「天地創造」というキャッチコピーを打ち出した、さる財閥系大手不動産デベロッパーが東京近郊に開発した、600戸規模のマンションがあった。

 ご存じの通り「天地創造」とは旧約聖書の冒頭で「光あれ」から始まる、神様がこの世界を創ったというエピソードを言うフレーズ。それをたった600戸程度のマンションのキャッチコピーに使うのだから、それはもうポエムとしかいいようがない。

 そのマンション、実は1年以上前に完成している。先日、現地を見に行ったら全体の半数も入居しているとは思えない状態だった。彼らにとっての「天地」は「創造」できたが、住む人は思うように引き寄せられていない様子だった。

 これは10年ほど前の例だが「○○涼子」という人気女優をイメージキャラクターに登用した。このマンションの折り込みチラシの表面には、彼女の写真と「感度リョーコー」というキャッチコピーが踊った。これには正直、あまりのバカバカしさに腰が砕けた。

 こういったマンションポエムを横目で見ながら笑っている分にはいい。しかし、そのマンションの購入を真剣に考えている方には笑えない。そこで今回はマンションの広告から、その物件の「真の姿」をあぶりだすノウハウをお伝えしたい。

 まず、我々プロはマンション広告の中でどこを最初に見るのか? よく「不動産の価値は9割が立地で決まる」という。まことにその通りだ。だから、我々は最初に「現地案内」や「MAP」という項目を探し出してクリックする。そして、どのあたりにあるのかを大まかに把握する。

 次は「スペック」だ。マンションの場合「○○駅徒歩○分、3LDK 00.00平方メートル、0000万円」に尽きる。つまり最寄り駅とそこからの徒歩分数、間取りと面積、価格の3要素。これだけで、ほぼ資産価値が決まる。

 これらの要素は、「概要」という新築マンションのオフィシャルサイトの中では、もっとも地味に作られているページに集約されている。はっきり言って、「現地案内図」と「概要」があれば、そのマンションのおおよそのことが分かる。

 あと、我々が見るとすれば「全体計画図」であろうか。敷地形状と建物や共用施設の配棟計画である。ここで、そのマンションの設計がどの程度ていねいになされているかをうかがい知ることができる。しかし、これはプロだから分かること。一般の方には少し難しいだろう。

 そのマンションの「共用施設」も、プールや温浴など、よほどのものでない限りはささっと見るだけ。「設備・仕様」というのは大手ならどこも似たり寄ったりなので、チェックさえしない。トップページや「コンセプト」というのは、その後で時間があれば覗く程度。

 つまり「天地創造」とか「感度リョーコー」とかいったところは、そのマンションの真の価値を見極めるためには、何も関係がない。むしろ邪魔だ。

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン