ライフ

格安インプラント治療 1本手術で約28万円の利益出る計算

インプラント治療で歯科医の利益は?(イメージ)

 なぜ歯医者絡みのトラブルや疑問がこんなに多いのか。背景には、「患者のためになる治療はカネにならない」という構造的欠陥がある。ジャーナリスト・岩澤倫彦氏が歯科業界の問題の元凶にして、最大のタブーである「値段」に斬り込む。ここでは「インプラント」の価格についてレポートする

 * * *
 5月下旬、右側の奥歯に痛みを覚えた筆者は首都圏の歯科を訪ねた。そこで笑顔で応対した歯科医は、痛みのある歯への言及もそこそこに、別の「痛くない歯」の話を始めたのである。

「それとね、左下の奥歯2本、これは抜歯しないとダメですね。破折(ひび割れ)しているようですし、根尖病巣(※注:歯根の先に膿が溜まっている状態)があるので、早く抜いたほうがいいです。驚きましたか?」

 痛くもない歯をいきなり「抜く」といわれたのである。この歯科は予防歯科(※注:虫歯や歯周病を未然に防ぎ、口腔内を健康に保つための診療科)が売りで、歯を極力抜かずに残す治療を受けられるとHPで宣伝していた。

 2本抜歯した後は、どういう治療になるのか聞くと、「インプラントがベストだと思います。詳しいご説明は後ほど」といわれた。

 問診票の「悪いところは全部治したい」「自費治療も含めた最善の治療を受けたい」にチェックを入れたからだろうか。そこで取材も兼ねて都内の格安インプラント(人工歯根)クリニックを訪ねてみた。

「頑張って残しても将来性があんまりない。第一選択は高価ですが非常に信頼できるS社のインプラントでやりたい。手術代もコミコミで80万円弱です」

 このクリニックのHPには、「インプラント本体は約21万円、アバットメント(※インプラントと上部構造〈義歯〉のつなぎ目の支台)約5万円、上部構造(義歯)約8万円、合計約34万円」という価格が掲載されている。

 2つ合わせても70万のはずだと指摘すると、「抜歯の費用が約7万円です。静脈麻酔をやるので、保険の抜歯ではダメなんですよ」と告げられた。

 約34万円は、義歯が銀歯(金銀パラジウム合金)の価格で、セラミックタイプだと合計約39万円になる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン