もちろん、他局も『ミヤネ屋』の快進撃に指をくわえて見ていたワケではない。フジテレビは、一時中断していた午後ワイドを復活し、「打倒ミヤネ屋」をスローガンに『知りたがり!』『アゲるテレビ』、そして現在の『直撃LIVE グッディ』をぶつけてきたが目下のところ3連敗中である。
テレビ朝日は、日本テレビがまだ『THEワイド』をやっていた頃から、15時台、『相棒』の再放送を始めると時間帯トップになっていたものだが、大きな事件や事故、芸能スキャンダルがあると視聴者が日本テレビ(読売テレビ)にチャンネルを合わせるので『ミヤネ屋』が圧勝。そのうち、視聴習慣がついてきたからか、15時台も『ミヤネ屋』が勝てるようになってきた。
そしてTBSは奮闘していた『2時っチャオ!』の恵俊彰を午前11時スタートの『ひるおび』にスライドさせ、旧『2時っチャオ!』枠=『ミヤネ屋』の裏は現在、系列のCBC制作の『ゴゴスマ〜GOGO!Smile!〜』だ。だが、「街頭インタビューに出て来るのは名古屋の人たちばかりだし、トレンド情報も名古屋発のものばかりなのは、さすがにツライ」とTBS局内では、再び自局で午後ワイドの制作を考えているとも聞く。ところが、「舛添問題で数字が微増してしまって、切りづらくなった」のだとか。いずれにせよ、『ミヤネ屋』は『ゴゴスマ』に、ほぼトリプルスコアで勝利している。
さて、『〜ミヤネ屋』の強さの秘密はどこにあるのか?
いちばんは、いい意味でのノリの良さとフットワークの軽さだろう。何が面白くて何が面白くないかを即座にジャッジして、個性的なスタッフが一丸となって動きまくっているのだ。
各曜日チーフは、全員ひじょうにユニークな人たちで、それぞれ独自の切り口をもっていて、ネタ選びはもちろんだが、スタジオで出すパネルやセットにも、各自の個性が表れている。
宮根さんは、そんなスタッフ一人一人の名前や特徴を把握し、彼らを信頼し、そのスペースの中で自在に動き回っている。
長く続いている番組のMCの中には、ひじょうに細かかったり、こうるさかったりする人も居れば、「天皇」と呼ばれ、スタッフがまずMCにお伺いをたてないと何も始まらないような番組もある。
視聴者の皆さんの中には『ミヤネ屋』をご覧になり、宮根さんが件のフロアディレクター・I氏に対し、ぶっきらぼうな言葉を発したり、上から目線なので、もしかしたら二人は不仲なのではないかと心配している方もいらっしゃるかもしれない。が、Iさんのことを誰よりも面白がっているし、信頼しているのは宮根さん。互いに頭の回転が速い二人は、ボケたり、ツッコんだり、見事なコンビネーションを見せているのだ。
冒頭にも記したとおり、10周年記念パーティーでほとんど座らず、コメンテーター陣の、けっこう長い挨拶(!)にも、いちいち頷いたり首を垂れたりしながら聞いていた宮根さん。
このように、腰が低く、大所帯のスタッフを常に楽しませようと盛り上げたり気遣ったりしている宮根さんにもっともっと喜んでもらおうと、スタッフやリポーターたちは動き回り、日々汗をかいている。
一人勝ちの『ミヤネ屋』の強みは、宮根誠司と出演者やスタッフの“チーム力”にあると私は見た。「午後のワイドショーなら『ミヤネ屋』」というのは、まだまだ続きそうだ。