この入院中、植松容疑者は「ヒトラーの思想が2週間前におりてきた」と病院の担当者に話していたが、医師は「他人を傷つける恐れがなくなった」と判断して、わずか12日間で退院となった。
直後の3月にも再び美容整形手術を受けていた。今度は鼻。およそ50万円をかけて鼻の形を整えたという。
さらに犯行直前となる6月、植松容疑者はクリニックを訪れ、目の美容整形を行った。目を大きくし、二重まぶたにする切開手術で約25万円かかったという。
「結局、半年で別人のように顔が変わりました。あご、鼻、目を手術して80万円かかったとか。彼の中で理想の顔へと整形が“完了”したのは事件の直前だったんです。金髪にしたのも1か月前。今にして思えば、それが引き金になってしまったのか…」(前出・友人)
犯行直前に行った整形手術は何を物語るのか。こころぎふ臨床心理センター長の長谷川博一氏が解説する。
「植松容疑者が整形を行ったのは、非常に自己愛が強いことの表れでしょう。障害を持つ人と対比して、自分は優れた人間だと認識することで自己愛を満たし、心のバランスを保っていた。事件を起こして世間から注目されることを想定した上で、外見的にも“ただの普通の人”だと思われないよう整形をした。整形が済み“結構イケてる男”だと評価される準備が整った段階で、犯行に及んだのだと思います」
整形を重ねるたび、植松容疑者の思想は大きく歪んでいった。身勝手な思想を社会が整える術はなかったのか。
※女性セブン2016年8月18・25日号