国際情報

半藤一利氏 「トルコのクーデターと二・二六事件は違う」

トルコのクーデターを考察(半藤一利氏)

 新刊『世界史としての日本史』(小学館新書)で初対談した半藤一利氏と出口治明氏は、英国は国民投票でEU離脱を選んだが、島国である英国は大陸との関係を絶ち切れないであろうことを指摘している。英国と同じく島国の日本は、どのように世界情勢を理解して大陸とつきあってゆけばよいのか。半藤氏と出口氏の対談から、トルコでのクーデター事件についての考察をお届けする。

半藤:島国は大陸と離れて生きていけないというのは、日本にも当てはまることではないですか。日本は有史以来、中国との深い関係にありましたし。英米VS独仏と、日米VS中ロという関係は、非常に似通っていますね。

出口:おっしゃる通りです。ただ、一つ違っているのは、EUは中小国の集まりであるのに対し、中国は巨大な一つの国であることです。

半藤:ロシアも巨大ですから、この2か国が手を組むと、存在として大きすぎるというのが、日本にとっては悩みの種ですね。

出口:日本は英国より難しい立場にあります。今回のEU離脱を一番喜んだのはロシアのプーチン大統領です。ウクライナ問題などでロシアはEUから圧力を受けてきたので、EUが弱まるのは大歓迎でしょう。

半藤:旧共産圏の東欧諸国がいまはEUになびいているので、EUが弱体化すれば取り戻すチャンスがやってくると考えているんじゃないですか。

出口:ですが、実際に英国に続いてEUを離脱する国があるかというと、スペインは総選挙で現状維持派の与党を選び、ギリシアも逃げ出していない。

半藤:英国が離脱するとEUが崩壊するといった話をよく耳にしましたが。

出口:他の加盟国がEUから出る理由はないのです。EUに予算を拠出しているのはドイツが一番で、フランスがその次で、逆にお金をもらっているのがポーランドを筆頭とした東欧諸国などです。ロシアはお金をくれません。だから、独仏がしっかりしていればEUは崩壊しないのです。

 ギリシアのような借金国の場合も、離脱するとユーロから昔の通貨に戻り、価値が激減して借金の額が倍増してしまうので、逃げたくても逃げられない。

関連記事

トピックス

運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏に「自民入りもあり得るか」聞いた
【国民民主・公認取り消しの余波】無所属・山尾志桜里氏 自民党の“後追い公認”めぐる記者の直撃に「アプローチはない。応援に来てほしいくらい」
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
遠野なぎこさん(享年45)、3度の離婚を経て苦悩していた“パートナー探し”…それでも出会った「“ママ”でいられる存在」
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン