国内

2020年問題の懸念も…人口減少時代に東京五輪は必要か

盛り上がるリオ。先進国に五輪は必要か Reuters/AFLO

 ジカ熱や組織的ドーピングに端を発したロシア選手団の参加問題など、開催前から多くの問題を抱えていたリオ五輪だが、最終的にはまずまずの成功となるのだろう。

 問題は4年後の東京オリンピック・パラリンピックだ。新国立競技場のコンペやり直しやエンブレムの再公募、さらには招致を巡り、日本の招致委員会から国際陸連関係者の会社に約2億円が支払われたとして、フランスの検察当局が捜査していると報じられるなどミソがつきっぱなしだ。

 いまさら、返上というわけにはいかないだろうが、これからの日本のあり方を考えるうえで、そもそも五輪を東京で開催する必要が本当にあるのか考察してみたい。

 1964年の東京五輪は高度経済成長期に突入した日本が「戦後」を脱し、先進国の仲間入りをするタイミングでの象徴的イベントだった。東海道新幹線をはじめとする多くのインフラも五輪を機に整備された。

 一方、現在の日本は高齢化社会になり、本格的な人口減少時代に突入した。今後、新しいインフラがどれほど必要だろうか。莫大な予算をつぎ込んでまで開催するメリットが本当にあるのか。東京都は保育園を作る予算はなくても、五輪につぎ込むカネはあるのかと散々批判されている。

 たしかにアベノミクスと東京五輪効果によって、景気は一見よくなった。

 大規模な金融緩和によって有り余ったカネが不動産市場に流れ込み、東京の中心部だけは不動産バブルの様相を呈している。だが、2020年の五輪開催を待たずに不動産価格は下落に転じると見る業界関係者は多い。ある不動産仲介業者は「2018年には多くの都心のマンションが中古市場に売りに出され、相場が下がる可能性がある。時期はもっと早まるかもしれない」と語る。外国人投資家が五輪開催前に売り逃げすると予想されるからだ。

 アベノミクスの要とも言える株価も一時は日経平均が2万円台に到達したが、現在は1万6000円台で落ち着いてしまった。為替もあっと言う間にもとの円高に振れてしまった。仮に長く円安基調だったとしても「輸出が有利になり、海外に移転した工場が日本に戻ってきて雇用が増える」という理屈自体、怪しいのだが。

関連キーワード

トピックス

芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン