前出・大原氏は「前例のない女系が導入されると万世一系の血統が途絶えてしまう」と危惧する。
「元皇族のご子孫が新たに皇籍を取得し、宮家の当主となっていただく。そうして男系の血統を守るべきです。そもそも万世一系の原則は男系男子による皇位継承だった。例外として10代8方の女性天皇がいらしたが、いずれも男系です。日本の歴史、伝統文化を血統とともに体現されている方が世襲されることが、国民感情に沿うと思う」
大原氏は、小泉内閣で論議された時には元皇族の子孫の中に皇籍取得の意思がある人がおられることを皇室に近い人物から聞いたという。一方の所氏は、現在ある宮家の存続をまず考えるべき、と主張する。
「男系男子を重んずる風習は軽視できないが、それに固執してはなりません。皇室典範第9条『養子の禁止』と、同第12条『皇族女子の結婚による皇籍離脱』を改正すれば、現在減少傾向にある皇族を維持し、さらに永続できる可能性が出てきます」
その2点の改正により、眞子内親王、佳子内親王、愛子内親王らが将来、皇室に留まるだけでなく、その宮家の子供が男子であれ女子であれ、養子となって子供のいない宮家を継ぐことも可能になるという。
「現実的な皇室典範改正に向けて多くの国民が冷静に議論しながら、合意点を見つけていかなければならないと思います」(所氏)
※SAPIO2016年9月号