ライフ

大動脈解離 背中に鉄板乗せ潰されるような痛みも

大動脈解離の痛みは凄まじい

 一般的には、死ぬとき瞬間に一番痛い死に方として急性心筋梗塞があげられるが、同じ循環器疾患の中で、それに次いで死亡率が高い大動脈解離も痛みは匹敵する。

 心臓から血液を全身に運ぶ動脈の中で、最も太い大動脈の内膜に裂け目が生じ、猛烈な痛みを引き起こす。3年前、急性大動脈解離を発症し、奇跡的に生還した岡本慎二氏(56・仮名)の話だ。

「妻との日課だった早朝の散歩中、突然、胸から背中にかけて、体を真っ二つに引き裂かれるような激痛が走ったのです。思わず、その場にうずくまり、すぐに気を失いました」

 妻が119番通報し、ショック状態で病院に運び込まれた岡本氏。幸いにも3時間に及ぶ手術は成功したが、動脈の一部は人工血管に置換された。

 経過は良好だというが、医師からは「奇跡的に血管に裂け目ができただけで済んでいた。もし破裂していたら出血死だった」と告げられたという。

 この大動脈解離の痛みについては、岡本氏が表現した「体が引き裂かれる」以外に、「背中に重い鉄板を乗せられ、体がぎゅーっと潰されるような圧迫感がある」との声もあるという。

 医療関係者の間で「キング・オブ・ペイン(痛みの王様)」と呼ばれるのが急性膵炎である。

 膵臓がつくる膵液(消化液)に含まれる酵素が膵臓の細胞を溶かし壊死させる過程で、鈍く重い痛みが生じる。成人男性でも、のたうち回り、泣き叫ぶこともあるという。重症化すると、多臓器不全で死に至るケースもある。発症頻度は男性が女性の2倍だ。

「腹部を鈍器で抉るような痛みが走ると言われてます。あまりの激痛に気を失う患者も多く、以前、運転中に急性膵炎になった患者は突然の激痛にハンドルも握れなくなり気絶してしまった。交差点の真ん中で急停車したのですが、大事故に至らなかったのが不幸中の幸いでした」(医療ジャーナリストの富家孝氏)

※週刊ポスト2016年8月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
宮崎あおい
《主演・大泉洋を食った?》『ちょっとだけエスパー』で13年ぶり民放連ドラ出演の宮崎あおい、芸歴36年目のキャリアと40歳国民的女優の“今” 
NEWSポストセブン
悠仁さまが2026年1月2日に皇居で行われる「新年一般参賀」に出席される見通し(写真/JMPA)
悠仁さまが新年一般参賀にご出席の見通し、愛子さまと初めて並び立たれる場に 来春にはUAE大統領来日時の晩餐会で“外交デビュー”の可能性も、ご活躍の場は増すばかり
女性セブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン