13才で群馬の実家から飼い犬1匹を連れて家出。足尾銅山の洞窟をはじめ、栃木や新潟の川べりなどで43年間、ひとりで自給自足しながら暮らし続けた加村一馬さん(69才)の実話を描いたドラマ『洞窟おじさん』(NHK BSプレミアム)が多くの賞を総ナメし、話題になっている。受賞したのは第71回文化庁芸術祭のドラマ部門で優秀賞、第32回ATP賞で奨励賞受賞、第6回衛星放送協会オリジナル番組アワードのドラマ部門での最優秀賞だ。
つい先日、北海道の山中に置き去りにされ、7日目に生存が確認された少年が話題になったばかりだが、加村さんのサバイバルは、なんと43年間にも及ぶ。山菜やキノコ、昆虫、ヘビ、カエル、川魚…果てはイノシシやウサギを捕食して生きながらえた加村さんの物語は驚嘆に価する。
その加村さんは現在、社会復帰して、群馬県の障害者の自立支援施設で働いている。ブルーベリーの収穫で忙しい中、本誌記者は現場を訪れ、ドラマ作品受賞の感想を尋ねた。
「よくわかんねえが、とにかく世間様に認められたことはうれしいことだね。あんちゃん、ほらっ、見てくれ。今年もブルーベリーの粒が大きくて甘いんだ、食べてみな。ジャムにしてもいいし、眼にもいいんだぞ。全国各地から注文が殺到して毎日忙しいよ」
日焼け顔の加村さんは、どうやら大切に育てているブルーベリーへの関心の方が大きいようだ。そしてさらに、ドラマにも大きな期待を寄せた。
「ドラマをもう一度見たいんだけど、おれの部屋にはBS放送っていうのか? アンテナがないから見ることができないんだ。今度は地上波放送で見られるとうれしいんだけどな」
※女性セブン2016年8月18・25日号