「名古屋港の貿易黒字は毎年6兆円もあるのよ。まあ半分は“トヨタ大明神”のおかげですけど。愛知県レベルで言っても、モノづくりの指標となる製造品出荷額は44兆円。2位が神奈川の17兆円、3位の大阪が16兆円。圧倒的ですがな。だで、東京よりも大阪よりも名古屋が“日本を支えとる”わけです。
政令指定都市で、最も地方交付税を出しとるのも名古屋です。名古屋は『上納率』といって、市民が払った税金のうち、自分のところで使われている率が30%で一番低い。あとの70%は上納しとんですよ。国税で金額にして1兆6000億円。そのうち名古屋が地方交付税で貰っているのは65億円だけ。こんなの、あんたら知らんでしょう?」
しかし、県外からは「トヨタは名古屋じゃないだろ」という指摘もある。恐る恐るこの指摘をぶつけてみると……、
「みんな間違えているけど、初代の豊田佐吉社長が最初に店(工場)を作ったのは、テレビ塔の隣ですから。住んでいたのも名古屋城が見えるところだで」
「ありがとうございました」と去ろうとした記者も、最後に厳しいお叱りを受けた。
「東京みたいな上納の胴元におる『週刊ポスト』がよう、名古屋ぎらいって、何言っとるんだ」
【PROFILE】かわむら・たかし/名古屋市長で「減税日本」代表。1948年、愛知県生まれ。一橋大卒。衆議院議員(5期)、名古屋市長(3期)を務める。2010年、地域政党「減税日本」設立。祖先は尾張徳川家の書物奉行。
※週刊ポスト2016年8月19・26日号