国内

買った犬に先天性疾患を発見 ショップに治療費請求できる?

購入した犬の疾患は治療費請求できる?(Ph:Thinkstock/Getty Images)

 物言わぬペットのとっさのトラブルに、どう対処すればいいのか、悩んだ経験がある人は多いのでは?

「生後2か月のチワワを購入しました。ところが後日、先天性の膝蓋骨脱臼が判明。ペットショップとの契約書には、6か月以内に亡くなった場合の補償については書かれていましたが、病気の場合でも治療費の請求などはできるのでしょうか?」(京都府・AI・31才・医療関係)

 この悩みに、共著『ペットのトラブル相談Q&A』(民事法研究会)などがある、猫ペットに関する事件、トラブルなども取り扱う弁護士・杉村亜紀子さんが答えてくれた。

 * * *
 ペットショップなどの販売業者は、健康上の問題がない動物を売る義務があり、繁殖業者がペットショップに販売する場合も、遺伝性疾患の説明をすることになっています。それでも、販売後に遺伝性疾患や先天性の異常が見つかることはよくあります。この場合、ペットショップは買い主に対し、法的な責任を負うことになります。

 一般的にペットは、「この子を迎えよう」と選んで購入すると思います。このように、他に代わりがない“特定物”の売買を“特定物売買”といい、マイホームの購入などもこれに該当します。

 特定物売買は、たとえ商品に欠陥が判明しても、代わりの物がありません。そのため、売り主(ペットショップ)は、“瑕疵担保責任”を負うことになります。

 具体的には、ワンちゃんの病状によって、飼えない、あるいは、飼育が困難な場合、契約を解除し、返品・返金の対応をしてもらえます。

 AIさん家のワンちゃんの場合、膝蓋骨脱臼があったからといって、今後飼えないというわけではないので、返品・返金は難しく、損害賠償請求をすることになります。

 傷や病気があるペットの損害賠償については、購入価格を超える賠償は認められないのが一般的です。購入代金の一部なら返金してもらえますが、今までやこれからの治療費全額の賠償を受け取るのは難しいでしょう。

 また、ペットショップによっては、売買契約書の中に、引渡し後に先天的な異常が発見された場合についての補償内容を具体的に定めているところもあります。必ず、契約前に契約書の内容を確認するようにしてください。

 法律上は損害賠償請求が可能だったとしても、ペットショップとの交渉や裁判は大変なものです。購入の際には、必ずその子の健康状態をきちんと確認することが大切です。

 とはいえ、最近は生後間もない子犬を販売するケースが多く、病状が後から出てくることも少なくありません。ワンちゃんに罪はありません。たとえ、購入後に病気が発見されたとしても、最後まで面倒をみる覚悟をもって、家に迎えてあげてください。

※女性セブン2016年9月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
裁判所に移されたボニー(時事通信フォト)
《裁判所で不敵な笑みを浮かべて…》性的コンテンツ撮影の疑いで拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26)が“国外追放”寸前の状態に
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
山上徹也被告が法廷で語った“複雑な心境”とは
「迷惑になるので…」山上徹也被告が事件の直前「自民党と維新の議員」に期日前投票していた理由…語られた安倍元首相への“複雑な感情”【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
山上徹也被告が語った「安倍首相への思い」とは
「深く考えないようにしていた」山上徹也被告が「安倍元首相を支持」していた理由…法廷で語られた「政治スタンスと本音」【銃撃事件公判】
NEWSポストセブン
不同意性交と住居侵入の疑いでカンボジア国籍の土木作業員、パット・トラ容疑者(24)が逮捕された(写真はサンプルです)
《クローゼットに潜んで面識ない50代女性に…》不同意性交で逮捕されたカンボジア人の同僚が語る「7人で暮らしていたけど彼だけ彼女がいなかった」【東京・あきる野】
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン