さらに、内部文書は「日本の核兵器製造の目的と動機」について、4点にわたって論じている。
第1は「日本は世界の大国としてアジア太平洋地域において主導的な役割を果たそうとしている」というもの。日本は戦後、経済発展が著しく、1980年代には米国に次ぐ世界第2の経済大国にのし上がり、「日本の右翼勢力が日本の軍事大国化を進めようとする昔日の野心を燃え上がらせている」ためだ、と説明する。
第2は日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りの障害を取り払うためだ。なぜならば、現在の5常任理事国で米英仏露中の5か国はすべて核保有国であることによる。
第3には、日本と対抗する国を軍事的に威嚇するため。
第4は、日本国内の経済不振が続くなか、核兵器を保有することで、国内矛盾を転化するためだ。内部文書は、ここでも「右翼勢力」の意図が反映されていると主張するが、「右翼勢力」について、具体的な説明はない。
実際問題として、常識的に、核兵器を保有することによって、日本国民が経済不振の不満を解消できるはずはない。
この内部文書の筆者は、「右翼勢力」が尖閣諸島の主権の維持や領土拡張を主張し、その発言力が強まるなか、「安倍(首相)が軍国主義の執政綱領の復活を主張して首相に再選した」と強調するなど、論理的な説明がつかないところで、都合のよいように、「右翼勢力」を持ち出している。