ライフ

歯を残す「根管治療」で確認すべき2つのポイント

日本歯内療法学会・理事の小林優氏

「いい歯医者を見つける方法を教えてほしい」という問い合わせが多く寄せられているが、実は歯科医選びほど難しいものはない。ニーズは患者によって大きく異なるし、必要のない歯を抜いてインプラント手術を行なう歯科医も存在するので“値段の高い自由診療だから質が高い”とも限らない。歯科業界関係者に聞いた悪徳歯医者を見抜くマニュアルをお届けする。

 インプラント手術を歯科医に勧められたら、必ず「根管治療(歯内療法)ではダメなのか?」と質問することを勧める。抜く必要のない歯を抜こうとしている歯科医にとっては、意表をつく一撃になるだろう。

 根管治療は、虫歯菌に侵された神経を細い針金状のリーマーやファイルと呼ばれる器具で除去、薬で密閉する。それにより抜歯を避けられる可能性がある。

 ただし、根管の孔は肉眼では見えないほど小さく、太さや形も複雑。治療の難易度が高く、時間もかかる。

 日本の根管治療は3~5割の成功率と報告されているが、根管治療の成功率を劇的に上げたのがマイクロスコープだ。日本歯内療法学会・理事の小林優氏(東京・村岡歯科医院)は、早くから根管治療にマイクロスコープを使用してきた一人だ。

「マイクロスコープを使うことで、根管の孔などを可視化できるようになりました。これまでの根管治療は、手探りでやっていたようなものですから、全く次元が違う治療です。その代わり、一回の治療は90分くらいかかります」

 マイクロスコープを使用した根管治療の成功率は90%以上。さらに小林氏は、もう一つポイントを挙げた。

「しっかりした根管治療を行なう歯科医は必ずといっていいほど、『ラバーダム』を使用しています。これは治療する歯だけ露出させて口をカバーするもので、雑菌が交じった唾液が患部に侵入するのを防ぎます。小さいファイル等を患者が飲み込む事故防止にもなりますので、ラバーダムは必須です」

 つまり、根管治療を受ける場合にはマイクロスコープとラバーダムを使っているか、必ず聞くべきだろう。

 ちなみに小林氏も一人あたりに時間をかけて治療するため、自由診療のみ。費用は1時間あたり2万~3万円。大抵の場合は数回の通院で完治する。保険による根管治療の約9000円(10回通院した場合の自己負担額)と比べると高額だが、抜歯してインプラント手術なら1本あたり30万~40万円になると頭に入れて検討してほしい。

●文/岩澤倫彦(ジャーナリスト)と本誌取材班

※週刊ポスト2016年9月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト