その五助を演じていたのは、このコラムでも以前紹介した愛之助の弟子・片岡愛一郎である。かの『半沢直樹』で愛之助が演じたオネエキャラ黒崎のモデルになったという愛一郎。『波瀾爆笑』などで観た彼のしぐさは、さすが歌舞伎の女形という感じのくねくね感とピカピカのおでこが印象的だったが、『真田丸』の五助は、一味違った。
家康暗殺を企て、仲間になってくれと誘いにきた三成と「これからは徳川の力が必須」と意見が対立する吉継。緊張が極まったその瞬間、主人を守るため、五助を思わず、三成に挑む!すんでのところで、吉継に押しとどめられたが、甲冑姿の五助はなかなかにりりしい。
「犬伏」の回では、徳川との戦いを前に吉継は三成と対面。ふたりは手を組む。その際にふたりの間で、ガチャガチャと甲冑を揺らしながら走り回るのが五助であった。「どうしても殿にお会いしたいと仰せです」「わが主がお呼びでございます」など、大物武将の家臣らしいセリフを発するたびに、「おお」といちいち感心していた私だが、五助も関ヶ原で主人と運命をともにして、もう見られないと思うと残念である。
『真田丸』は、秀吉や家康など歴史の大人物や大事件の動きを追うだけでなく、五助のようにちょっとだけ出てくるキャラを探す楽しみもある。いよいよ負け組となった真田家の昌幸、信繁がこれからどんな「ちょっとだけキャラ」と出会うのか。このコラムでもチェックしたいと思う。