国内

著作権異議申し立てに逆ギレするネットの異常事態

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏

 みずから独自の記事を作りださず、コピー&ペーストとまとめだけを貼りつけ、アフィリエイト収入をはかるブログは、時に「アフィカス」と呼ばれ蔑みの対象にもなる。一方で、ネット上で公開されているものはすべて無料だという著作権を無視した言動もはびこっている。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、ある2ちゃんねるのコピペ担当人が巻き起こした著作権論争から、ネット著作権の異常事態について考察する。

 * * *
 ネット上の著作権に関する意識とお客様体質はここまで腐りきっていたか、と感じ入る騒動があった。それは、アニメ評論家・藤津亮太氏が映画『シン・ゴジラ』に関するコラムを読売新聞に執筆したことに端を発する。

 これがネット掲示板の2ちゃんねるに全文転載され、明らかに引用の範囲外であるため藤津氏は著作権違反だと抗議。すると2ちゃんねるのコピペ(転載)担当人・X氏が藤津氏の抗議について「ハエのように五月蝿(うるさ)いんですけど」と述べた上で、ネットに公開された情報はネットユーザーの「共有資産」であると、あまりに独特過ぎる反論ツイートをした。

 つまり「全文掲載するのはもはや慣習」「異議を呈するお前がおかしい」と言い放ったということだ。

 結果的にX氏は大勢のネット民からたしなめられ、2ちゃんねるの運営からも梯子をはずされ、この件は藤津氏の申し入れが通った形となった。

 今回はX氏の言い分があまりに珍妙過ぎたためこのように話題化し、ネットの著作権違反がまかり通る現状が改めてあぶりだされた。だが、奇妙なことにネットの世界では著作権を主張する人間は煩わしく狭量な人間という扱いをされがちな現状がある。

 正当な権利を主張することこそおかしな行為であると糾弾し、「お前がコピペできる場所に公開しているのだからコピペされても文句を言うな」というロジックで著作権違反を正当化するのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン