筆坂:組合の他に赤旗には通信員という制度があり、地方の党員が定期的に記事を送ります。少なくなったとはいえ、30万人を超える共産党員が全国津々浦々に組織を張り巡らせる。これが赤旗の強みでしょうね。
上杉:かつて田中角栄の金脈問題を最初に追及したのも、長岡市議会の古参の共産党議員でした。僕は何度もこの地方議員を取材したけど、彼は市の財産を角栄さんと越後交通が私物化することに腹を立て、ひとりでコツコツ調べたんです。
余談ですが、後にこの議員の自宅が火事で全焼したとき、角栄さんが駆けつけて100万円をポンと出した。議員が何度拒んでも、「困ったときはお互い様だ。同じ新潟県民じゃないか」と譲らない。それでも断る議員に対し、「借りたと思え。いつか返しにくればよい」と半ば強引に金を手渡した。天敵をも呑み込む角栄さんは、さすがですよね。
●うえすぎ・たかし/1968年東京都出身。鳩山邦夫氏の衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者を経て、2002年よりフリージャーナリストとして活動。政界、メディア問題、原発問題など、多岐に亘るテーマで執筆。2016年、東京都知事選出馬(4位)。
●ふでさか・ひでよ/1948年兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行へ就職。18歳で日本共産党入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家へ。国会議員秘書を経て参院議員。共産党ナンバー4の政策委員長となるも不祥事を契機に議員辞職。2005年7月離党。主な著書に『日本共産党』。
※SAPIO2016年10月号