「シネコンと唯一違うのは、床には絨毯を敷いていないということ。なぜなら、深夜は泥酔したお客様がいらっしゃって上から下から漏らされたり、興奮のあまり床に……といったケースもあり、すべて水で洗い流せる設計にして常に清潔に保っております」(斎藤氏)
ピンク映画の新作を作る映画会社が大蔵映画1社のみとなってしまった今、斎藤支配人率いる上野オークラ劇場は映像部9人で心臓部を切り盛りしている。
製作の進行はおもに映像部が管理し、12~13人のフリーの監督らへ依頼したり逆に企画を持ち込まれたりして、月3本、年間38本もの新作を作り上げている。斎藤氏や鍋島氏はどのように新作製作に携わっているのか。
「実は映画のタイトルは監督ではなく私たちが企画段階でつけています。みんなでタイトル案を持ち寄り、どれが良いかタイトル会議を開いて決めるのです」(鍋島氏)
今後のピンク映画を盛り上げるべく斎藤支配人の野望は尽きない。
「日本のピンク映画の価値を世界的に売り出すべく国際映画祭への出品を狙っています。日本国内でも今夏、昨夏に続いて第2弾となるテアトル新宿での映画イベントも積極的に行ない大盛況でした。様々なお客様にピンク映画の多種多様な魅力を知ってもらう機会を作るべく、今後も攻めていきます」
撮影■下城英悟
※週刊ポスト2016年10月14・21日号